2025.11.27
多言語商品カタログ制作事例 –地域に合わせたローカライズとAIを用いた表紙デザイン
今回は、神奈川県に本社を構えるタイヤメーカー様の多言語商品カタログ制作事例をご紹介します。
多言語カタログは、ひとつの製品を複数の文化圏で紹介するための“橋渡し”となるツールです。言語が変わるだけでなく、価値観・情報の捉え方・製品に求められるポイントも地域ごとに異なるため、「自分たちに向けて作られている」と感じられる表現が必要になります。そのためには、単なる翻訳では伝わりにくい部分を丁寧に補い、それぞれの文化に合った視点に置き換えて分かりやすく届けるデザイン設計が欠かせません。
本記事では、多言語カタログ制作事例に沿って、地域ごとの特性に合わせたローカライズのポイントをご紹介します。「海外向けの資料をもっと最適化したい」とお考えの企業様の参考になれば幸いです。
目次
海外向け商品カタログ制作の概要
まず、商品カタログ制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主-神奈川のタイヤメーカー様-
今回の案件は、神奈川県に本社を構えるタイヤメーカー様からご依頼いただきました。自動車用タイヤを軸にグローバルに事業を展開されており、産業用製品なども幅広く手掛けておられます。これまでもJPCにはカタログや映像などの制作をご依頼いただいております。
ご依頼内容-多言語商品カタログの制作-
今回ご依頼いただいたのは、多言語版商品カタログ制作です。クライアント様は世界各地で多彩な商品を展開されており、それぞれの地域に最適化されたマーケティング戦略を採用されています。その一環として、「アジア&オセアニア」「中東・アラビア語」「中東・英語」「中南米」の4つのエリアに向けた多言語カタログを制作いたしました。
デザイン制作におけるポイント-地域に合わせたローカライズとAIを用いた表紙デザイン-
対象エリアでは、言語だけでなく文化的背景や生活環境、道路事情、さらにはタイヤに求められる性能までもが異なります。従来のカタログでは「グローバル統一型」のデザインや構成が主流となっており、現地ユーザーのニーズに十分に応えきれていないという課題がありました。そのため、以下の3つのポイントを抑えてデザインに取り組みました。
- 各地域に適した製品を的確に紹介すること
- 言語や文化の違いに対応したビジュアルと構成で直感的に伝えること
- ブランドの世界観と統一感を持たせながらも、それぞれの市場に最適化すること
これらを実現するために、「翻訳」ではなく「ローカライズ」、そして「製品紹介」ではなく「ブランド体験の設計」をコンセプトに、企画・制作を行いました。また、撮影が難しいシーンをAI画像生成によりビジュアル化しました。4種のイメージカラーを活かしたデザインで、印象に残る表紙に仕上げています。
商品カタログのデザイン制作の流れ
ヒアリングとカタログ構成
まずは、各エリアのマーケティング担当者と緊密に連携し、それぞれの国・地域での売れ筋商品、重点訴求ポイント、ユーザー層の特徴などをヒアリングしました。
その情報をもとに、地域別に最適な製品ラインナップ、構成順、コピーのトーンなどを設計。各国における実使用シーンをイメージしやすい構成としました。
AI を活用したダイナミックなグラフィック制作
実際の撮影が難しいシーン(過酷な走行条件・自然環境下での走行など)は、AI画像生成によりリアルにビジュアル化しました。例えば、表紙案は以下の3パターンを制作しました。

このAI技術により、現地での大規模な撮影を行わずに、コストを抑えながらリアリティのあるシーン表現と地域性に応じた演出を両立することができました。製品とシーンを自然に組み合わせることで、より印象的でインパクトのある表紙デザインや扉ページを実現することができました。
中面デザイン
複数地域向けに展開されるため、シリーズとしての一貫性を保ちつつ、各カタログが持つ個性も損なわないデザインを意識しました。全体としてはブランドの統一感を重視しつつも、レイアウトやカラーリング、ビジュアルトーンを地域ごとに設定し、一目で違いが分かるようにしています。
また、それぞれの言語仕様に合わせ、右から左へ読むアラビア語には反転レイアウトを採用するなど、細かな配慮を徹底しました。フォントによって行間も調整し、すべての言語で同等の視認性と読みやすさを意識しています。また地域によって、カタログ内のラインナップや掲載順も変更しています。

多言語版商品カタログの完成
完成した商品カタログがこちらです。


多言語での表記ミスや文化的な違和感がないよう、各言語のネイティブチェックを経て丁寧に校正。言語面だけでなく、文化的な禁忌やデザインの印象にも配慮しました。
最終的には、高解像度の印刷データとあわせて、Webカタログとしても展開可能なデジタル形式でも納品いたしました。
グローバル展開におけるローカライズデザインの考え方
グローバルに事業を展開する企業では、同じ製品であっても、市場ごとに求められる情報や伝え方が大きく異なります。そのため、単に言語を切り替えるだけではなく、地域の特徴に合った伝わり方を意識したローカライズが重要になります。
ここでは、多言語カタログを制作する際に大切にしたい3つの視点をご紹介します。
1. 地域ごとに「伝え方」を変える
地域によって、文化的背景やニーズの高い製品などは異なります。そのため、日本ベースの構成をそのまま当てはめるのではなく、地域ごとに必要な情報量や優先すべきポイントを整理し、“どんな順番で何を伝えるか”をその国に合わせて組み立てる視点が重要です。必要な情報が自然に届くように設計することで、読み手にとって理解しやすいカタログになります。
2. 統一感を保ちながら地域らしさをプラスする
グローバル展開するカタログでは、ブランド全体の世界観を維持することが前提となりますが、そのうえで各地域の市場特性に合わせて配色・光の強さ・コントラスト・背景の質感 などを細かく調整することが重要です。例えば、アジアでは明るくはっきりした配色が好まれ、中東では陰影を強めた重厚な印象が馴染むなど、“地域ごとに心地よいと感じる視覚バランス” が異なります。ブランドの軸はそのままにしながら、地域の視覚文化に合わせて最適化することで、シリーズとしての統一感と、現地で自然に受け入れられるローカライズ性を同時に実現できます。
3.言語の違いをデザインでスムーズにする
英語・スペイン語・アラビア語など、使用する言語によって読み方向やフォント特性が大きく異なります。そのため、言語ごとにレイアウトや行間、テキスト幅を調整し、読みやすさを確保することが重要です。特にアラビア語のような右から左へ読む言語では、構成そのものを反転させる必要があり、同じページ構成でありながら、異なる言語でも自然に見えるかどうかがポイントになります。
多言語版商品カタログのデザイン制作まとめ
今回は、神奈川県に本社を構えるタイヤメーカー様の、多言語版商品カタログ制作事例をご紹介しました。
地域ごとに異なる文化やユーザーの価値観を意識しながら、紙面全体のトーンを整え、異なる言語でも読みやすいレイアウトに整えました。また、現地での撮影が難しい素材はAI画像生成を活用し、ダイナミックかつインパクトのあるビジュアルで表現しています。クライアント様のブランドの世界観を保ちつつ、地域に合わせてカタログ内容を調整することで、現地ユーザーのニーズにこたえるカタログが完成いたしました。
JPCでは、印刷物の新規制作はもちろん、多言語化やローカライズ、既存カタログの再構成など、さまざまなご要望にお応えしています。「海外向けの資料を整えたい」「地域ごとに伝わり方を最適化したい」そんなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
