2026.04.30
ブランディングデザイン事例 – 2種類の健康機器のキービジュアル制作と展開
今回は、京都のヘルスケアメーカー様よりご依頼いただいた、同時期に発売された健康機器2商品のブランディングデザイン事例をご紹介します。
新商品のローンチに欠かせないキービジュアルとブランディングデザイン。「どんな表現で、どんなブランドイメージを打ち出すか」を定める作業は、決して簡単ではありません。同じ企業から発売される類似ジャンルの商品であっても、ターゲットや用途が異なれば、目指すべき世界観は大きく変わります。
本記事では、ターゲットも用途も異なる2商品のキービジュアルを、それぞれに最適なブランドイメージで描き分けた制作プロセスと、その背景にあるブランディングデザインの設計視点をご紹介します。新商品のキービジュアル制作やブランディングデザインをご検討中のご担当者様の参考になれば幸いです。
ブランディングデザイン制作の概要
ご依頼主 ―京都のヘルスケアメーカー様―
今回のご依頼主は、京都に本社を構えるヘルスケアメーカー様です。スポーツ用品からアパレル、健康機器まで多岐にわたる商品・サービスを展開されており、全国に店舗を構えていらっしゃいます。JPCとは古くからお取引をいただいており、店舗用のPOPやディスプレイ、商品カタログやチラシ、映像まで、これまで幅広い広告制作をお手伝いしてきました。
ご依頼内容 ―新発売の健康機器2商品、同時進行のキービジュアル制作―
ご依頼いただいたのは、同時期に発売された健康機器2商品のキービジュアル(KV)制作と、それを軸とした販促物への展開です。キービジュアルとは、商品のブランドイメージを象徴的に表現し、その後に展開される販促物すべての軸となるメインビジュアルのこと。今回は2商品について、撮影からキービジュアル制作、さらにその後の販促物への展開まで、一貫してお任せいただきました。
制作対象となった2商品は、以下の通りです。
商品A:シート型のリラックス機器
身体の下に敷いて使う、リラックス・リカバリー用途の健康機器
商品B:電動スパブラシ
ヘアケア・ボディケアに使える電動タイプのスパブラシ
どちらも、クライアント様独自の光テクノロジーを活かした健康機器。しかし、使用シーンもターゲット層も価格帯も異なります。同じ技術を搭載しながらも、別々の市場に向けて展開される2商品を、それぞれに最適な世界観で表現することが今回のテーマとなりました。
ブランディングデザイン制作の流れ
撮影 ―自社スタジオにて、同一モデルで―
ブランディングデザイン制作は、撮影から始まります。今回は両商品のキービジュアル素材を、自社スタジオにて、同一モデル起用で撮影しました。今回使用したのは、自然光が差し込むハウススタジオです。

ブランディングの起点となる素材を、企画から撮影まで一貫してコントロールできるのは、自社スタジオを持つ強みの一つです。今回も、商品の世界観や使用シーンの解像度を撮影段階から高められるよう、デザイナー・撮影スタッフ・先方ご担当者で密に連携しながら撮影に臨みました。
ブランディングデザイン案件の撮影で重要なのは、最終的なキービジュアルの構図を限定せず、後工程に活きる素材バリエーションを幅広く確保すること。今回のような複数媒体展開を前提とした案件では、撮影時点で「縦位置・横位置」「アップ・引き」など多様な構図を押さえておくことが、後の販促物展開のスピードと品質を左右します。
キービジュアル制作 ―2商品それぞれの世界観を構築―
撮影素材をベースに、2商品のキービジュアル制作に入ります。
同じ光テクノロジーを搭載しながら、ターゲットや用途、価格帯もすべて異なる両商品。当然、ブランディングデザインの方向性も大きく変えなければ、望む広告効果は得られません。ここからは、2商品それぞれのキービジュアル制作で意識した世界観構築のプロセスをご紹介します。
シート型機器:暖色の光で表現する、日常のリラックスタイム

シート型機器は、体の下に敷くだけで、手軽にリラックス・リカバリー効果を得られる健康機器です。老若男女問わず、すべての人に使ってもらえる商品として、日々の暮らしに自然に溶け込む存在を目指して設計されています。
このターゲット像と商品特性を踏まえ、キービジュアルでは老若男女が肩ひじ張らずに使える親しみやすさと、温かく守られているような安心感――この2つを世界観の軸に据えました。
身体の下にあるLEDから放たれる光が、身体全体を優しく包み込む様子を、放射状に柔らかく広がる暖色のグラデーションで描写し、見る人が直感的に「あたたかさ」「リラックス」を感じられるビジュアルに仕上げました。
モデルの表情やレタッチも自然体を意識。日常の延長で気軽に使える商品であることが伝わるよう、過剰な演出は避けています。
電動スパブラシ:プリズムのように煌めく、美容機器の世界観

電動スパブラシは、エステサロンのような頭・顔・カラダのトータルケアを自宅で楽しめる商品。価格帯も高めに設定された、自分へのご褒美として手に取るプレミアムなアイテムであり、メインターゲットは美容意識の高い女性となります。
そのため、ベンチマークとなるのは美容機器のカテゴリーです。
このターゲット像と商品特性を踏まえ、キービジュアルではサロンで施術を受けた後のような上質感と、自分時間を慈しむ満足感――この2つを世界観の軸に据えました。
光の表現は、シート型機器とは大きく趣を変えています。プリズムを通したように繊細にキラッと煌めく光で、見る人に上質感と特別感を伝える表現を追求。色味もラベンダーやピンクを基調とした洗練された色彩でまとめ、女性が「使いたい」と感じるビジュアルに仕上げました。
モデルのメイクは、バスタイムでの使用も想定したすっぴんに近い肌を意識。透明感のある素肌のツヤ感を繊細なレタッチで引き出し、商品が叶える上質な自分時間の体験を、ビジュアルから直感的に感じ取れるよう仕上げています。
同じ技術を搭載していても、ターゲットが手にしたいと願う”体験”はまったく別物だからこそ、キービジュアルが描く世界観も別物として設計したのです。
キービジュアルから多媒体へ ―複数デザイナーの連携―
キービジュアルが固まれば、次は各種販促物への展開です。今回も、チラシやWebサイト、各種バナーなど多媒体へとシームレスに展開しました。
ただし、2商品分かつ納期も重なる難易度の高い案件。限られた期間で仕上げるため、複数のデザイナーが並行して制作を進める体制をとりました。KVを手がけたデザイナーがクリエイティブディレクターとして全体のデザインディレクションを担い、各媒体の担当者がチラシの版下やWebデザインへと落とし込んでいく流れです。
ここで何より重要なのが、「キービジュアルで構築した世界観を、すべての販促物で一貫して維持する」こと。トーン&マナー、カラーリング、余白の使い方、フォント選定――チーム内で頻繁に素材共有と確認を重ね、媒体が変わっても同じブランドの一連の販促物として認識される統一感を担保しました。
多様な領域に対応できる人材を抱え、案件規模に応じて柔軟にチームを編成できる。これは、企画から各媒体制作まで一気通貫で対応するJPCの強みの一つです。
2商品のブランディングデザインが完成
キービジュアルから、チラシ、Webサイトまで、2商品それぞれのブランディングデザインが、すべての媒体で統一された世界観をもって完成しました。


2商品を並べて見ると、同じクライアント様から発売された商品でありながら、まったく異なるブランドイメージが、それぞれの媒体できちんと成立していることがおわかりいただけるかと思います。
ブランディングを多媒体に展開する、2つの設計視点
一つのキービジュアルから複数の販促物を展開する際、考えるべきポイントは大きく2つあります。同じビジュアル・同じ情報をすべての媒体に並べるのではなく、それぞれの特性に合わせて見せ方と情報量を組み立て直すことが、ブランディングを各販促物で機能させるカギとなります。
1. 媒体に最適化されたリサイズ
キービジュアルは、掲載媒体・画面サイズ・フォーマットによって、最適な見せ方が大きく変わります。
A4サイズのチラシ、スマートフォンの画面、SNSのバナー、大画面で見せるTVCM――同じキービジュアルでも、それぞれの媒体に合わせてレイアウトを再設計する必要があります。
ここで調整するのは、画像のトリミングだけではありません。メインコピーの配置や文字サイズ、サブコピーの有無、余白の取り方、被写体と背景のバランスなど、構成要素を媒体ごとに見直すことで、各媒体での視認性と情報量を確保します。
ただし、調整の自由度が高いからこそ意識すべきは、キービジュアルが本来持つデザイン性とブランドイメージを損なわないこと。媒体に最適化しつつも、「どの媒体で見ても同じブランドの広告だ」とユーザーが直感的に感じられる統一感を保ちながら調整することが、この設計視点の核となります。

2. 掲載情報のカスタマイズ
媒体によって、読み手の閲覧シーンも、求められる情報量も大きく異なります。
どんなシーンで、どんな情報が求められるか。それを踏まえ、掲載情報の優先順位や量を組み立て直す必要があります。
例えばチラシは、手に取った数秒で印象が決まる媒体。短時間で商品の魅力が伝わるよう、キービジュアルを最大限に活かしつつ、商品の特長・使用シーン・価格情報を一枚で完結させる情報設計が求められます。

シート型機器のチラシでは、多彩な使用シーンの展開を中心に構成。写真サイズを揃えてバランスよく配置することで視認性を高め、温かみのあるトーンで全体を統一することで、手に取った方に安心感を与えるデザインに仕上げました。

一方、電動スパブラシのチラシでは、独自機能と3種のアタッチメントの整理を中心に構成。3つの主要技術については、機能を直感的に伝えるオリジナルアイコンを制作。アタッチメントの説明部分では、自分の悩みと照らし合わせられるチェックリストを設け、「自分の悩みに合った商品である」と感じてもらえる設計としました。
Webサイトでは、縦スクロールで段階的に情報を届ける構成が有効です。トップに大きく配置したキービジュアルで世界観を伝え、続いて商品の特長、技術解説、使い方、購入情報と、興味の段階に応じて読み進められる構造を設計します。チラシでは紙幅の都合で削った情報も、Webでは存分に展開できます。
媒体ごとに情報を最適化することで、各販促物が独自の役割を最大限に果たし、ブランディング全体の効果を引き上げることができます。
ブランディングデザイン制作まとめ
今回は、京都のヘルスケアメーカー様よりご依頼いただいた、健康機器2商品のキービジュアル制作・ブランディングデザイン事例をご紹介しました。同じ光テクノロジーを搭載しながらも、用途もターゲットも異なる2商品について、それぞれに最適な世界観を構築するキービジュアル制作と、チラシ・Webサイト・各種バナーへの多媒体展開を、ワンストップで同時進行した案件です。
ターゲットや用途に応じて、商品が伝えるべき世界観は大きく変わります。そのターゲットに、その商品の魅力を最大限に届けるためのデザインとはどんなものか――それに応えるブランディングデザインこそが、新商品の市場での成否を左右します。さらに、そのデザインがあらゆる媒体で機能するように設計することも、見逃せない要素です。
JPCでは、カタログ・Webサイト・ディスプレイ・映像まで幅広い広告制作を手がけており、多様なターゲット・媒体に対応してきた知見と、企画から制作までを一気通貫で担う体制を強みとしています。商品の新たな魅力を引き出すキービジュアル制作、ターゲットに刺さるブランディングデザインをご検討中のご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。