2026.02.26
パッケージデザイン制作事例 –情緒と機能の両立を実現するアクアリウム製品パッケージ
今回は、奈良の観賞魚用品メーカー様よりご依頼いただいた水槽用フィルター(ろ過器)のパッケージ制作事例をご紹介します。
パッケージは、店頭で商品を手に取ってもらうための最初の接点です。特にアクアリウム関連製品では、スペックなどの機能情報を正しく伝えるだけでなく、「美しい水景のある暮らし」への期待感を喚起する情緒的な表現も求められます。しかし、情緒的な演出を重視しすぎれば機能訴求が弱まり、説明に偏重すれば高揚感が損なわれてしまう。「機能」と「情緒」の最適なバランスをどう実現するかが、パッケージデザインにおける大きなテーマとなります。
本記事では、多機能な新製品ろ過器のパッケージ制作事例に沿って、コンセプト設計からデザイン提案、ブラッシュアップに至るまでの流れや意識したポイントをご紹介します。「新製品の店頭訴求を強化したい」「機能と世界観を両立させたパッケージを作りたい」とお考えの企業様の参考になれば幸いです。
目次
商品パッケージデザイン制作の概要
はじめに、今回のパッケージ制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主 -奈良の観賞魚用品メーカー様-
今回の案件は、奈良に本社を置く観賞魚用品メーカー様からご依頼いただきました。観賞魚用水槽をはじめ、フィルターやヒーターなどの付属器具の自社開発・生産・販売を幅広く展開されている企業様です。これまでもJPCには、総合カタログ制作やパッケージデザインなどを継続的にご依頼いただいております。
ご依頼内容 -新製品フィルターのパッケージ制作-
今回ご依頼いただいたのは、新製品の水槽用フィルター(ろ過器)のパッケージ制作です。
本製品は、上部式フィルターの「ろ過能力」と外掛け式の「手軽さ」を兼ね備えたクロスオーバーモデルという位置づけの製品でした。クライアント様からは、デザインに関して以下のようなご要望をいただきました。
- 配色は白・青系を基調とした「スタイリッシュで洗練された」デザイン
- 多彩な新機能が一目でわかる表現(アイコン化など)
- 店頭での横置き/縦置き、両方の陳列条件に対応できるレイアウト
デザイン制作におけるポイント -「機能的価値」と「情緒的価値」の融合-
今回のパッケージデザインにおいて最も意識したのは、「機能的価値」と「情緒的付加価値」の融合です。
アクアリウム関連製品を購入するユーザーが求めているのは、単なる「観賞魚用の資材」ではありません。色鮮やかな熱帯魚や揺らめく水草が育つ美しい水景、そして自室での「潤いのある暮らしと時間」そのものです。そのため、アクアリウム関連製品のパッケージには、通常の製品パッケージ以上に情緒的付加価値を喚起させる豊かな表現が求められます。
一方で、水槽用フィルターは流量・対応水槽サイズ・消費電力・ろ材の容量などスペックが複雑で、設置イメージも湧きにくい製品です。購入者にとっては「自分の水槽に合うのか」の判断が難しく、結果的に「安さ」や「有名ブランド」で選ばれがちな側面もあります。
こうした背景を踏まえ、一般的なろ過器と比べても本製品の高い独自性・多機能性を明確にアピールしつつ、手に取った瞬間にアクアリウムへの期待感や高揚感が伝わるグラフィック表現を目指しました。
商品パッケージのデザイン制作の流れ
ターゲットと訴求軸の整理
デザインの検討に先立ち、まず「誰が」「どこで」購入するのかを整理しました。
水槽用フィルターの購入者は、大きく分けて3つの層に分類できます。「掃除を楽にしたい」「静かなフィルターが欲しい」といった悩みを持つビギナー層、ろ過能力の最大化やメンテナンス性を重視する中級・上級層、そして「説明しやすいパッケージか」「棚で見栄えがするか」という視点を持つショップスタッフです。
今回は静音性や大容量対応を極めたハイエンドな新製品であるため、やや上級層寄りの訴求を軸としながらも、可能な限り全てのユーザー層を包括でき、かつさまざまな売り場環境にも対応できるパッケージの検討を重ねました。
レイアウト設計と初回3案の提案
クライアント様のご要望を起点に、デザインの検討を進めました。
初回提案では、それぞれに独自のアピールポイントを備えた3案をご用意しました。以後のやり取りでクライアント様が迷いなく方向性を絞り込めるよう、傍流的なバリエーションではなく、コンセプトの異なる3方向を提示しています。

3案とも、ブルー系と無彩色(白・黒系)の組み合わせを基調としたカラー展開です。
表面には、直感的に伝わるベネフィットの明示と、余白を活かした高品位感の演出を配置。キャッチコピーや対応水槽サイズ・淡水海水対応などのアイコン、設置状態の合成写真で使用シーンを想起させる構成としています。
側面(大) には、信頼を築くエビデンスを集約。水の流れとろ過の仕組みを示す構造図、スペック表、メンテナンス方法の図解、オプションパーツや関連製品の紹介を配置しました。
側面(小) には、表面の訴求ポイントを要約し、キャッチコピーと各種スペックをコンパクトにまとめています。
また、すべての案の表面について縦型/横型の2パターンのレイアウトを制作。
店頭での陳列状況(縦置き/横置き)のいずれでも見やすさを維持できるよう配慮しました。
さらに、今回は撮影をクライアント様側で行い画像支給を受ける工程であったため、メインビジュアルの撮影手法もタイプごとに変えて提案。大容量を表現するダイナミックなアングルや、水面の静謐さを伝える表現手法を検討し、初回提案に盛り込みました。
デザインブラッシュアップ
初回3案のご提案後、ベースとなる方向性はC案に決定しました。
カラーバリエーション(白 / 青系)や商品名変更、メインキャッチなどの機能訴求周りのあしらい調整など、まずは大まかな点の修正を進めました。
最終的には青系のカラー案に確定。

この段階でパッケージの外形サイズ変更もあり、要素のリサイズ・配置移動を行いました。
前回提案の時点でデザインの骨格はほぼ確定していたため、大掛かりなサイズ変更を加えても、全体的なデザインの印象が保たれるよう注意を払いました。
メインビジュアルの画像合成・仕上げ
クライアント様にて提案ラフに基づいた撮影が完了し、画像支給を受けた後、実際の画像合成・レタッチ作業に着手しました。

まずは本パッケージの「顔」であるメインイメージ(縦/横)を、Photoshop上で様々な効果・合成を駆使して制作。本製品の特長である「やさしい水面」の表現が最も注力すべき点なため、ここは特にこだわって調整を重ねました。
他の説明画像についても必要なレタッチ合成を加え、これまで面ごとで制作を進めてきたデザインと併せて指定のパッケージ展開図面に配置し、それぞれ微調整を行いました。
パッケージデザインの完成
完成したパッケージデザインがこちらです。

「機能は選ばれるための最低条件であり、情緒は使い続けられるための理由である」。この観点に常に立ち返りながら制作を進めました。
完成したパッケージは、高機能ろ過器としての多彩な機能・便益を具体的に伝えるのはもちろんのこと、アクアリウムへの期待感を最大限に引き出す情緒的な表現を両立。さらに、縦置き・横置きいずれの陳列にも対応できる設計で、店頭での利便性も満たしたパッケージに仕上がりました。
第一印象で手に取られるパッケージデザインの考え方
店頭に並ぶ商品の中で、パッケージは最初に目に触れる存在です。実際に手に取られるまでのわずかな時間の中で、「気になる」「見てみたい」と感じてもらえるかどうかが、その後の行動を左右します。だからこそ、パッケージデザインには、見つけてもらうための工夫と、選んでもらうための設計の両方が求められます。ここでは、“第一印象”という視点から、パッケージデザインで意識したいポイントをご紹介します。
直感から詳細確認へとつなぐ導線設計
売り場では、まず色やビジュアル、コピーなどの大きな要素が目に入ります。その段階で「どんな商品か」がある程度伝わらなければ、手に取ってもらうことは難しくなります。一方で、興味を持って手に取った後には、仕様やスペック、使用イメージといった具体的な情報が確認されます。直感的に惹きつける要素と、詳細で納得してもらう情報。この二段階を意識して設計することで、自然な購買導線が生まれます。パッケージは単なる外装ではなく、売り場でのコミュニケーションを担う存在といえるでしょう。
「機能」と「感性」をバランスよく伝える
機能が充実した商品ほど、伝えるべき情報は多くなります。しかし、情報をただ並べるだけでは、かえって印象に残りにくくなることもあります。大切なのは、伝える内容を整理し、優先順位をつけることです。商品の強みやベネフィットを分かりやすく示し、その裏付けとなる情報を見やすく配置する。アイコンや図解を活用することで、複雑な内容も直感的に理解しやすくなります。性能の高さという“機能”と、使うシーンを想像させる“感性”。その両方を意識することで、商品そのものの価値がより伝わりやすくなります。
並んだときに埋もれない色設計と差別化
パッケージは、単体で見られることはほとんどありません。売り場では、常に他の商品と並んで比較されます。その中で存在感を発揮するためには、色やコントラストの設計が重要になります。ブランドの世界観を保ちながらも、棚の中でしっかりと視認できるカラーリングを選ぶこと。また、「この商品ならでは」の特長がひと目で伝わるよう整理することも欠かせません。選ぶ理由が明確に伝わるパッケージは、比較の中でも印象に残りやすくなります。
水槽用フィルターのパッケージ制作まとめ
今回は、奈良の観賞魚用品メーカー様よりご依頼いただいた水槽用フィルターのパッケージ制作事例をご紹介しました。
高機能な新製品の多彩なスペックを整理して伝えつつ、アクアリウムの世界観を通じた情緒的な付加価値の喚起を両立させたパッケージに仕上がりました。初回提案でコンセプトの異なる3方向を提示し、ブラッシュアップを重ねることで、クライアント様が求める着地点へ最短でアプローチ。店頭での縦置き・横置き両方に対応したレイアウト設計や、Photoshopを活用したメインビジュアルの画像合成など、細部にこだわった制作を行いました。
JPCでは、パッケージデザインの企画・制作はもちろん、撮影や3DCG、画像合成から印刷までワンストップで対応しています。さらに、パッケージだけでなく、商品を陳列する什器や店頭ヘッダーなど、あらゆる販促物をまとめてご依頼いただけます。新製品のパッケージ制作やプロモーションをご検討のお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。お見積もりは無料で承っております。
