2026.03.19
キャラクターデザイン制作事例 – 多様性を表現する株式投資のキャラクター制作
今回は、東京都の資産運用会社様よりご依頼いただいた、投資信託のキャラクターデザイン制作事例をご紹介します。
金融商品は、機能や数値だけでは差別化が難しい分野です。そうした中で注目されているのが、キャラクターの力。顧客との心理的な距離をぐっと縮め、「この商品が好き」という愛着を生み出すことができるのが、キャラクターを起用したブランディングの強みです。ただ、親しみやすさと金融商品にふさわしい信頼感をどう両立させるかは、デザインの現場でも悩ましいテーマでしょう。
本記事では、JPCの社内デザイナー3名がそれぞれ異なるモチーフで提案を行い、キャラクターガイドラインの完成までを進めた制作プロセスをお伝えします。企業キャラクターの新規制作やリニューアルを検討されている方の参考になれば幸いです。
キャラクターデザイン制作の概要
ご依頼主 -東京都の資産運用会社様-
今回のご依頼主は、東京都に本社を構える資産運用会社様です。個人・機関投資家向けに投資信託の運用・管理を手がけており、国内外の株式や債券など幅広い金融商品を提供されています。JPCとはこれまでにもポスターやチラシ、Web、動画など幅広い制作物でお取引をいただいてきました。
ご依頼内容 -投資信託のキャラクター開発-
ご依頼いただいたのは、投資信託商品に紐づくオリジナルキャラクターの開発です。5体程度のキャラクターセットに加え、複数ポーズの展開、さらにキャラクターガイドラインの制作までを一括でお任せいただきました。
背景にあったのは、「キャラクターへの愛着を通じて販売促進につなげたい」というご要望です。今回のターゲット層は大きく二つ。一つは販売現場のスタッフ層で、数ある類似商品の中から「このキャラクターの商品だから推したい」と感じてもらうこと。もう一つは商品を購入する顧客層で、ファンドに対して親しみやすさや安心感を抱いてもらうことが求められていました。
加えて、使用用途は紙媒体・Web・動画と多岐にわたります。さまざまな媒体に展開できる汎用性も、重要な要件の一つでした。
デザイン制作におけるポイント -「成長」と「多様性」を表現するキャラクター-
本案件のデザインを貫くテーマは、「成長」と「多様性」の表現。
投資信託は、資産が時間をかけて育っていく金融商品です。その本質をキャラクターの世界観にどう落とし込むかが、最大のデザイン課題でした。加えて、グローバルに分散投資する商品特性から、画一的ではない多様なキャラクター群で世界観を構築する必要があります。性別や年齢を問わず幅広い層に受け入れられるデザインであること。こうした複数の要件を同時に満たすキャラクターを目指すところからプロジェクトがスタートしました。
キャラクターデザイン制作の流れ
社内ブレストとモチーフの方向性決定
制作はまず、JPCの営業担当とデザイナー3名が集まってのブレインストーミングから。デザインの方向性や、どんなモチーフがこの商品にふさわしいかを話し合いました。
「投資」というテーマから出てきたのは、キャラクターから「成長」を感じられるモチーフがいいという方向性。卵、植物、謎の生命体――さまざまなキーワードが飛び交い、それぞれのデザイナーが異なるモチーフを持ち寄って案を仕上げることになりました。
3つのデザイン案の提案
初回にクライアント様にご提案した資料がこちら。
3名のデザイナーが、それぞれまったく異なるコンセプトでキャラクター案を提案しています。
デザイン案01:「タネ」モチーフ

植物の種には形や色、大きさにさまざまなバリエーションがあり、多様性や多国籍をイメージできるモチーフです。種は植物の始まり。資産運用を始める第一歩と、今後の成長を兼ね備えた存在として提案しました。表情や顔つきをあえてバラバラにすることで、多様性を視覚的に表現しています。
デザイン案02:「たまご」モチーフ

「初心者・始まり=たまご」というコンセプトから生まれた案です。専門知識がなくても、誰でも同じスタートラインに立てるという商品の分かりやすさと親しみやすさを表現しました。投資額や目標によってたまごから生まれるキャラクターの色や形が変わり、一人ひとりに合った投資のカタチがあることを伝えるという世界観です。
デザイン案03:「カタツムリ」モチーフ

ゆっくりでも着実に進むカタツムリの姿と、コツコツ続ける投資信託を重ねたキャラクター。それぞれが個性的な家(=資産)を持ち、「伸びる」「増える」などポジティブな投資ワードにちなんだ仲間がいるという設計です。
こうして振り返ると、3案とも「成長」を軸にしながらまったく違うアプローチになっているのがお分かりいただけると思います。複数のデザイナーがそれぞれの解釈で提案することで、クライアント様にとっても方向性を比較検討しやすい場をつくることができました。
モチーフ決定と形の模索・類似調査
クライアント様との協議の結果、採用されたのは「タネ」モチーフ。決定後は、キャラクターの造形をさらに掘り下げていきます。先方からは「少しインパクトを持たせたい」というご希望があり、形のバリエーションを複数パターン検討しました。
また、キャラクターの方向性が決まったところで重要な工程が「類似調査」です。実は今回のプロジェクトを進めるうちに、過去に競合他社が似たコンセプトでキャラクター展開していたことが分かりました。そこで、競合他社のキャラクター、さらには種をモチーフにしたキャラクター全般の動向まで、多角的に調べ上げました。こうした調査を挟むことで、「かぶらない個性」をしっかり担保した上で制作を進めることができています。
質感・配色の検討とポーズ展開
キャラクターの形がFIXした後は、ビジュアルの仕上げへ。ここで検討したのは、キャラクターの「質感」と「配色」です。


絵本のように水彩っぽい立体的なタッチ、クレヨンで描いたような温かみのあるタッチ、フラットな配色によるモダンな印象――JPCのデザイナーが複数の質感パターンを提案し、クライアント様とともに最適な表現を選んでいきました。
質感・配色が決まると、いよいよポーズ展開の制作です。全体集合、喜び、疑問など、さまざまなシチュエーションに対応するポーズを展開。紙媒体でもWebでも動画でも使えるよう、楽しく表情豊かに仕上げることを心がけました。

キャラクターの完成
最終FIXの後、キャラクターガイドラインを制作して無事に納品。ガイドラインとは、キャラクターの色・比率・使用NG表現などのルールをまとめた仕様書のことです。

JPCにはキャラクター制作を得意とするデザイナーが複数名在籍しています。だからこそ初期段階から幅の広い提案ができたと感じています。
クライアント様からも、「とても愛着の沸くキャラクターたちになった」「ファンドの成長と共にキャラクターも育ってほしい」と喜びのコメントをいただきました。
長く愛されるキャラクターをつくるための3つの設計ポイント
ここからは、今回の事例を踏まえつつ、キャラクターを「長く使える資産」にするためにデザインの現場で意識している設計ポイントを3つご紹介します。
1. 世界観の「余白」を残す ― 設定を詰めすぎないことが展開の鍵
キャラクターの初期設計で意外と陥りやすいのが、世界観を作り込みすぎることです。性格や口癖、好きな食べ物まで細かく設定すると、一つひとつが制約となり、使えるシーンがどんどん限定されていきます。
デザイナーが意識しているのは、守るべきコア要素と、あえて決めない余白の線引き。今回の事例でも、「成長」「多様性」というテーマとタネの基本シルエットだけをコア要素として固め、表情や色には自由度を持たせた設計にしています。
2. サイズと媒体に耐えるデザインをつくる ― 視認性・切り抜き・カラー
企業キャラクターは、名刺の片隅から展示会の大型バナーまで多様なサイズで使われます。デザイナーがまず意識するのは、いちばん小さく使われる場面でも「あのキャラクターだ!」と認識できるかどうか。
具体的には、色を消したシルエットだけでキャラクター同士の区別がつくかなどをチェックします。これをクリアできていれば、モノクロ印刷でもSNSのアイコンサイズでも、グッズや着ぐるみなどの立体になっても破綻しません。キャラクターの実用的な耐久性を左右する、重要なポイントになります。
3. 運用フェーズを見据えた納品物設計 ― 「使う人」のためのガイドラインづくり
キャラクターの納品物というとイラストデータ一式を想像されるかもしれませんが、運用段階で実際に差がつくのはキャラクターガイドラインの質です。営業担当者がパワーポイントに配置する場面、SNS投稿用画像に展開する場面――デザイナーに逐一確認しなくても、誰もが正しく使えることがガイドラインのゴールになります。
そのために重要なのは、OK例とNG例をセットで具体的な使用場面に紐づけて示すこと。色の許容範囲を数値だけで指定しても、現場では判断に迷います。「この背景色の上ではこう使う」「余白はキャラクターの高さの○%以上」「このポーズは単体使用のみ」と落とし込んで初めて、ガイドラインは実用的なものになります。
キャラクターデザイン制作まとめ
今回は、資産運用会社様の投資信託キャラクター制作事例をご紹介しました。
複数のデザイナーが初期段階から異なる切り口で案を持ち寄ることで、クライアント様にとって比較検討しやすい提案の場をつくれたこと。そして類似調査や質感の検討を丁寧に重ね、キャラクターとしてのオリジナリティと汎用性を両立できたことが、今回の制作のポイントでした。
JPCでは、キャラクターデザインの企画・コンセプト設計から制作、ガイドライン整備までワンストップで承っております。「自社のキャラクターを作りたいけれど、どこから始めればいいかわからない」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。
キャラクター制作について詳しくは、下記のページもご覧ください。