2026.04.02
チラシ・ポスター制作事例 – 「選べるデザイン」で使い分ける農業啓蒙チラシ
今回は、農業関連企業様よりご依頼いただいた、農業従事者向け啓蒙チラシ・ポスターのデザイン制作事例をご紹介します。
啓蒙ツールのデザインで難しいのは、内容の重要性と「読みたい」と思ってもらえるかどうかが比例しないこと。伝える側がどれだけ大事だと考えていても、受け手にとって「自分事」にならなければ素通りされてしまいます。しかも農業の現場のように受け手の年齢層や感性が幅広い場合、1つのテイストで全員の心に届けるのは容易ではありません。
本記事では、異なる2つのテイストを提案したところ思いがけない展開を迎えた、チラシ・ポスターの制作プロセスをお伝えします。啓蒙チラシや販促ツールの制作をお考えの方にとってヒントになれば幸いです。
チラシ・ポスターデザイン制作の概要
ご依頼主 -農業関連企業様-
今回のご依頼主は、農業関連の事業を展開されている企業様です。以前JPCで制作を担当させていただいた別の企業様からのご紹介でご縁をいただきました。多岐にわたるJPCの制作実績をご覧いただき、信頼を寄せていただいた上でのスタートです。
ご依頼内容 -農業従事者向け啓蒙チラシ・ポスターの多種展開-
ご依頼いただいたのは、稲刈り後の田んぼのメンテナンスをテーマにした啓蒙ツール一式の制作です。
- A4片面チラシ:2種
- A1ポスター:2種
- A4両面チラシ(PowerPoint形式での納品):1種
テーマは「稲刈り後の田んぼのメンテナンス」。次期の収量改善と安定化に向けた秋の土作りの重要性を、農業従事者の方々に届けることが今回のミッションでした。
デザイン制作におけるポイント -秋の彩りと2つの個性を両立するデザイン-
今回の制作でこだわったのは、「秋」という季節感を統一しながら、まったく異なる2つの印象を両立させることです。
どちらのテイストも、秋を象徴するオレンジ系統をベースカラーに採用。しかし表現手法を変えることで、異なる訴求力を生み出しました。A案は親しみやすいイラストと柔らかい書体で「やさしく寄り添う」印象に。B案は成果や効果を予感させるビジュアルと力強い斜体で「かっこよく背中を押す」印象に。同じ情報でも、受け手の感性や設置場所に応じてデザインを選べるという提案です。
チラシ・ポスターデザイン制作の流れ
方向性の異なる2つのデザイン案を提出
制作はまず、クライアント様の要望をもとに2つのテイストを設計するところから始まりました。

A案:「やさしい・親しみやすい」デザイン
親しみやすさを感じさせるイラストを印象的に配置し、あたたかみのある書体を選定。メンテナンスの重要性を、身近で受け入れやすい雰囲気で届けるアプローチです。
B案:「スタイリッシュ・力強い」デザイン
収量改善という「目に見える成果」を予感させるビジュアルに、斜体を中心としたスピード感のある書体を組み合わせた構成。農機メーカーのカタログのようなデザインで、しっかりと啓蒙するアプローチです。
結果はまさかの2案同時採用
当初はA案・B案のどちらかに絞る想定でした。ところが、上記の2案を見たクライアント様の反応は予想と異なるものに。「どちらも良い。現場にあわせて使い分けたい」――なんと2案同時採用となりました。
制作チームとしても、それぞれのテイストが異なる強みを持っていると感じていただけに、両方のポテンシャルを活かしきれる展開となりました。ここから、2案を効率よく同時に仕上げていくワークフローが始まります。
A案の制作とB案への効率展開

限られたスケジュールで2案とも完成させるためには、効率的に制作を進める必要があります。
まずは先行してご支給いただいた原稿をもとに、A案で一式を制作。クライアント様にA案をご確認いただいている間に、そのデータをベースとしてB案へ展開するという並行作業の進め方です。デザインチーム内でA案・B案を並べて比較・検証を重ね、どちらも妥協のないクオリティに仕上げました。

同じ原稿・同じ情報構成をベースにしているからこそ、テイストは異なっても情報の過不足が生じない。この「1案ベースからの派生設計」が、品質と効率を両立させるポイントでした。
運用を考慮したPowerPoint納品

今回の制作物のうち、A4両面チラシ1種についてはPowerPoint形式で納品しています。
これは、納品後にクライアント様側で文面の更新や差し替えができるようにするため。啓蒙ツールは情報の鮮度が重要になるため、毎回デザイン会社に依頼しなくても運用できる体制を整えることも、制作の一部として提案しました。
チラシ・ポスターの完成
A4チラシ4種、A1ポスター4種、A4両面チラシ2種。ついに、計10点のツールが完成しました。

秋のオレンジを基調とした統一感を保ちつつ、「親しみやすさ」「力強さ」という異なる2つの個性を持った啓蒙ツールに仕上がっています。
掲示場所や配布対象に応じて「どちらのテイストを採用するか」を現場で選べるという点が、今回の制作物の大きな特徴です。
チラシ・ポスター・PowerPoint ― 媒体ごとのデザイン展開術

ここからは、今回の事例で制作した3つの媒体それぞれについて、デザイン上の考え方をご紹介します。
1. A4チラシ ― 手に取って「読ませる」ための情報設計
A4チラシは手元でじっくり読まれる媒体だからこそ、「どう読み始めてもらうか」の設計がデザインの起点になります。今回のA案・B案は、その入口のつくり方が対照的です。
A案は、手描き風のイラストと丸みのある書体で紙面全体にやわらかい空気をつくり、「秋耕 忘れていませんか?」という問いかけのコピーで読み手を引き込む構成。一方のB案は、実写の田園風景を大きく使い、斜体の力強い書体で「収量改善・安定化」というメリットをストレートに打ち出しています。イラストで「気になる」と思わせるか、写真で「自分の現場だ」と感じさせるか――入口の感情が異なるからこそ、同じ情報でも届く層が変わります。
2. A1ポスター ― 遠くからでも「目に留まる」ための視認性設計
ポスターはチラシと同じ情報を扱っていても、求められるデザインの解像度がまったく異なる媒体です。掲示場所から数メートル離れた距離で、まずメッセージが目に飛び込んでくることが最優先になります。
そのためポスターへの展開は、チラシの単純な拡大ではありません。文字サイズの調整はもちろん、情報量の間引きや要素の優先順位の見直しを行っています。今回のように、チラシとポスターを同時に制作する場合は、最初から両方のサイズを意識して情報設計を行うことで、展開時の手戻りを最小限に抑えることができました。
3. PowerPoint納品 ― デザインクオリティを維持しながら「編集できる」を両立する
クライアント様側で文面の更新や差し替えができるPowerPoint形式での納品は、運用面で大きなメリットがあります。ただし、何も考えずにPowerPointで作ると、デザインの品質が一気に落ちてしまうのも事実です。
ポイントは、編集させる部分と固定する部分を明確に分けて設計すること。テキスト部分はPowerPoint上で打ち換えられるようにする一方、イラストやタイトルまわりは画像化してレイアウトの崩れを防ぎます。また、PowerPointは要素を詰め込みすぎてしまいがちな媒体。余白をしっかり確保してレイアウトすることで、デザインの品質を維持できます。今回のように、チラシやポスターを同時に制作しているケースでは、先にデザインの完成形が固まっているため、そのクオリティを基準にPowerPoint版を効率的に仕上げることができました。
チラシ・ポスターデザイン制作まとめ
今回は、農業関連企業様よりご依頼いただいた、啓蒙チラシ・ポスターの制作事例をご紹介しました。やさしく親しみやすいA案と、力強くスタイリッシュなB案の2テイストを同時採用し、現場や設置場所に応じて使い分けられる計10点の啓蒙ツールに仕上げています。
カラーリングで統一感を保ちつつ、表現手法を変えることで異なる訴求力を生み出したこと。そしてA案ベースからB案へ効率的に展開するワークフローで品質と効率を両立できたことが、今回の制作のポイントでした。
JPCでは、チラシ・ポスターをはじめ、さまざまな販促ツールの企画・デザイン制作を承っております。「ターゲットに届くデザインを提案してほしい」「複数媒体を効率よく同時に制作したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
