2024.12.26
建材の総合カタログ制作事例-施工事例活かしたデザイン
企業にとって、カタログは単なる製品情報の羅列ではなく、ブランドの価値やメッセージを顧客に伝える重要なマーケティングツールです。とくに総合カタログは、製品ラインナップを網羅するだけでなく、企業の理念や強みを的確に表現する場として活用されています。そのため、デザインには視覚的な美しさとともに、読み手が求める情報をわかりやすく伝え、印象に残る構成が求められます。
この記事では、建築用ガラス製品を手掛けるクライアントの総合カタログ制作事例をもとに、総合カタログデザインのポイントを解説します。これからカタログ制作を検討する企業の方に役立つ情報をお届けします。ぜひ最後まで読んで、ご参考になさってください。
目次
総合カタログのデザイン制作事例の概要
はじめに、今回の制作事例の概要をご紹介します。
ご依頼主 – 滋賀の建築用ガラス製品のメーカー様 –
今回のクライアントは、滋賀県を拠点とする建築用ガラス製品の製造および販売を行う企業様です。同社は、断熱性や遮音性、防犯性能を兼ね備えた高機能なガラス製品を提供し、建築物の性能やデザイン性の向上に貢献されています。
過去には、展示会ブースやパンフレット、チラシやWEBサイト、映像制作など、多岐にわたる制作物をご依頼いただきました。
ご依頼内容 - 製品を包括的に紹介する総合カタログ-
今回のご依頼内容は、特殊ガラス建材の製品ラインナップや特性、施工事例を包括的に紹介する総合カタログの制作です。
このカタログは、製品特性として耐熱性や耐衝撃性、防音性などの強みをわかりやすく伝えることを目的にしています。また、実際の施工事例を通じて、どのような使用シーンで製品が活躍するのかを視覚的に訴求する工夫を盛り込みました。さらに、業界内外の潜在顧客や建築家、設計者に向けて、製品やブランドの認知度を向上させることも大きな目的としています。
デザイン制作時のポイント-製品の特性を活かした施工事例を見せる-
今回の制作では、各製品の特性を的確に伝えるため、情報整理とビジュアル表現の双方に時間をかけました。製品ごとの性能や用途を明確に示すことで、顧客が直感的に製品の価値を理解できるよう配慮しています。
また、実際の施工事例を多く採り入れることで、製品がどのように活用されるのかを具体的に示し、視覚的に訴求することを重視しました。このようなアプローチにより、顧客が具体的な利用シーンを自然にイメージしやすくなっています。さらに、デザイン全体においては、ガラス製品の持つ透明感や質感を最大限に活かし、クリーンで洗練された高品質な印象を与えることを目指しました。
総合カタログのデザイン制作の流れ
これより、総合カタログの制作過程について、実際の流れに沿ってご紹介していきます。まずは、全体のイメージを担う表紙のデザインのご提案から取り掛かりました。表紙のデザインが決まって、方向性が見えてくると、全体のデザイン性を進めました。以下より、その過程を詳細にお伝えします。
表紙デザインのご提案
まず、表紙デザインの作業からスタートしました。
表紙は、カタログ全体の「顔」としての役割を担い、第一印象を決定する非常に重要な要素です。
そのため、表紙のデザインにはとくに時間をかけ、カタログ全体のイメージや方向性を慎重に設定しました。表紙のデザインは、中面のデザインにも大きな影響を与えるため、この段階でカタログの全体的なコンセプトを固める必要がありました。
クライアントからは、最初に4つの異なる方向性で表紙デザインを提案してほしいというリクエストがありました。
■ご提案した4つデザインの方向性
A)ジオメトリックな模様を用いたデザイン案
B)製品をイメージさせるイラストを使用した抽象的なデザイン案
C)白を基調とし、テキストだけで構成されたシンプルなデザイン案
D)特殊ガラス建材の代表的な施工事例写真を複数組み合わせたデザイン案
それぞれのデザイン案は、異なるビジュアルスタイルやコンセプトを反映しており、カタログのターゲット層や使用シーンを考慮してデザインしました。また、クライアントが示した4つの方向性からインスピレーションを受けて、少しアレンジを加えた追加のデザイン案もご用意しました。
提案の結果、B案が採用されることになりました。
B案は、製品であるガラスをイメージさせるイラストを用いた抽象的なデザインで、視覚的に洗練された印象を持たせることを狙っています。ガラス板をモチーフにしたさまざまな長方形を描き、それを少し崩した形でレイアウトすることで、ガラスが持つ透明感や硬さ、光の反射を表現しました。また、配色についても、淡い色のバリエーションを使用し、いくつかの色にはグラデーションをかけて、ガラス特有の質感や奥行きを視覚的に表現しました。
初回のご提案後、クライアントから「ガラスブロックを思わせる正方形も採り入れてほしい」という追加のご要望をいただき、あわせて対応いたしました。
長方形と正方形をバランスよく配置することで、デザインに動きとリズムを与え、最終的に満足いく表紙デザインが完成しました。
中面のデザインの詳細設計と色彩選定
次に、中面のデザインに取りかかりました。
製品は大きく5つのカテゴリーに分かれているため、まずはそれぞれの製品に対応する色を決定しました。
色は、各製品の特性や使用される場面を連想させるものにしました。
1つ目の製品、防火設備用ガラスは、火災や高温に耐える性能を持つことから「炎」を象徴するレッドを選びました。製品の安全性や強度を視覚的に伝えています。
2つ目のガラスブロックは、光を通す性質を持っているため、透明感のあるブルーを選定しました。明るく清潔な印象を与え、建築物の一部としてガラスが使用される場面をイメージしています。
3つ目の製品、結晶化ガラス板は、ホワイトやブラックのモノトーンな製品カラーなので、その中間色であるグレーを採用しました。製品が持つシンプルでモダンな雰囲気を強調しています。
4つ目のガラスレンガは、光に照らされることで見え方が変わる特性を持っています。白っぽい色ながら、光が当たると淡いイエローからグリーンに変化するので、グリーンをメインカラーにしました。光の当たり方で変化する独特の視覚効果を反映しています。
5つ目の放射線遮蔽用ガラスは、これまでのプロモーションでパープルが使用されてきたため、統一感を持たせるためにそのままパープルを採用しました。高度な技術と安心感を象徴する色で、製品の信頼性を視覚的に伝えています。
次に、各製品のトップページのデザインフォーマットについて考えました。
このカタログでは、ガラス製品のページが続くため、区切りが不明確にならないように工夫する必要がありました。
そこで、四角形や丸といった一般的な形状よりも、より視覚的に強い印象を与える「三角形」を用いることにしました。三角形の形状を各製品のトップページにワンポイントとして配置し、これにグラデーションをかけることで、ガラスの光の反射や輝きを表現しました。
また、カタログ全体のデザインについても、製品や施工例写真を引き立てるために、シンプルで視覚的に邪魔にならないデザインを採用しました。
細部のデザインを調整して完成
このカタログで紹介されているのは、非常に専門的で特殊なガラス製品です。そのため、無機質で硬い印象を与えてしまう可能性がありましたが、表紙に使用したポップでカラフルなデザインが、その重たい印象を和らげ、親しみやすく仕上げることができました。
とくに、表紙に施されたデザインは見る人の目を引き、製品に対する興味を自然と引き出してくれる効果がありました。この工夫により、技術的な内容であっても、手に取った人にとっては、気軽に中身を覗いてみたいと感じさせるようなカタログに仕上がったと思います。
顧客満足度を高める総合カタログのデザイン
ここでは、総合カタログのデザイン制作における、ポイントやコツについてご紹介します。
カタログデザインにおけるターゲット層の意識
今回の事例では、ターゲットとなるカタログの読者である建築家や設計者が情報を得やすいように、デザインはシンプルで直感的な構成を意識しました。このような構成は、とくに情報を素早く取得する必要があるプロフェッショナルにとって重要です。
また、専門用語を多用し過ぎずわかりやすい表現を心がけ、図解やビジュアルエレメントを活用して視覚的に補強する工夫を施しました。これによって、情報の伝達効率が向上し、内容がより説得力を持つ形に仕上がっています。このような方法は、建築分野だけでなく、技術系カタログ全般でも有効です。
デザインがもたらすブランドイメージの向上
デザインの質は、製品のブランドイメージに直結する重要な要素です。
今回のカタログでは、透明感や質感を最大限に活かしたビジュアル表現を採用することで、クライアントの高い技術力と製品への信頼感を伝えました。
デザインは、ターゲット層である読者が、製品の価値を直感的に理解しやすくする役割を果たしています。さらに、視覚的な訴求力が強いデザインは、潜在顧客にもブランドの魅力を広くアピールすることができます。デザインによる視覚的なアプローチは、単に製品情報を伝えるだけでなく、顧客との信頼関係を構築し、長期的なビジネス関係の基盤を強化する効果があります。デザインは、単なる装飾に留まらず、マーケティング戦略の一環として機能するのでしっかりターゲット層を見極めて、読者の信頼を得るデザインをしていきたいですね。
総合カタログのデザイン制作のまとめ
今回は、ガラス建材の総合カタログのデザイン制作事例についてご紹介いたしました。
施工事例を多く掲載することで製品の使用シーンや活用事例を多く伝えることを主軸に、画像の邪魔にならないような工夫を凝らして、シンプルながらそれぞれの製品の違いがわかりやすいデザインに仕上げました。
総合カタログは、多くの製品が掲載されるので、単調なデザインになりがちですが、ターゲットを見極め読者の信頼を得られるデザインを目指すことで、ブランドの価値向上に寄与するカタログづくりをお手伝いいたします。デザインだけじゃなく、コピーや撮影まで、一気通貫でサポートさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。
詳しくは、総合カタログのページもご覧ください。
総合カタログ詳細ページ