2025.12.25
工場紹介パンフレット制作事例 –動画と連動した手書きイラストの活用
今回は、東京に本社を構える国産米の製造・加工・販売企業様よりご依頼いただいた工場紹介パンフレットの制作事例をご紹介します。
工場紹介ツールは、実際の現場を見たことがない人にも、工場の役割や特徴をイメージしてもらう必要があります。しかし、設備や工程は専門性が高く、前提知識がないと内容が伝わりにくいことも少なくありません。だからこそ、工場の魅力を「分かる形」に翻訳する視点が重要になります。言葉だけで説明するのではなく、図解や写真などのビジュアルも組み合わせながら、全体像が自然に理解できる見せ方を整えることがポイントです。
本記事では、工場紹介パンフレット制作事例に沿って、設備・工程を分かりやすく伝えるためのデザインや制作時のポイントをご紹介します。「工場の取り組みをもっと伝わる形で発信したい」「見学や取引先向けに分かりやすい紹介ツールを整えたい」とお考えの企業様の参考になれば幸いです。
目次
工場紹介パンフレットデザイン制作の概要
まず、パンフレットデザイン制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主-東京の国産米製造・加工・販売企業様-
今回の案件は、東京に本社を構える国産米製造・加工・販売企業様からご依頼いただきました。こちらの企業様は、米穀のとう精・販売や米粉の製造・販売などを手がけており、日本の食文化を支える存在として、米の価値や可能性を広く発信する取り組みを行われています。
ご依頼内容 -新米粉工場の紹介パンフレット-
今回ご依頼いただいたのは、新設された米粉工場を紹介するための工場案内パンフレットの制作です。クライアント様は、日本全体で米の消費量が減少する中、米粉の普及を通じて新たな需要を創出し、日本の米づくりを次世代につなげていきたいという想いがあり、その取り組みの一環として米粉事業の拡大に注力されています。その中で新たな米粉工場の完成を機に、取り組みの背景や工場の役割、製造工程をわかりやすく伝えるツールとして、工場紹介動画とパンフレットを制作する流れとなりました。専門的になりがちな内容を、一般の方にも親しみやすく伝えることが今回の大きな目的です。
デザイン制作におけるポイント-イラストや写真を用いて親しみやすい冊子に-
今回の制作では、「専門的な内容を、できるだけわかりやすく親しみやすく伝えること」を大きな軸としています。米粉や製造工程は、一般の方にとってなじみの薄い分野です。そこで、難しい説明をそのまま並べるのではなく、イラストや写真などのビジュアル表現を活用しながら、工場の全体イメージが分かりやすいパンフレットを目指しました。動画とパンフレットを別々のツールとして制作するのではなく、トーンやビジュアルを統一することで、どちらを見ても同じメッセージが自然に伝わるよう設計しています。
工場紹介パンフレットのデザイン制作の流れ
米粉事業と新工場の動画制作
最初に着手したのは、米粉工場を紹介する動画の制作です。
動画では、日本で進む米の生産量減少という課題を起点に、「米粉について」「なぜ今、米粉が注目されているのか」などを、順を追って説明しています。
社会的な背景を伝えるパートでは、内容を身近に感じてもらえるよう、手描きのイラストを用いた、温かみのある表現を採用しました。数字や言葉だけで説明するのではなく、視覚的にイメージしやすい構成にすることで、自然と内容が頭に入ることを意識しています。

動画後半では、米粉がつくられる工程をより具体的に伝えるため、工場内の実写映像に加えCGによる解説を挿入。専門的になりがちな工程も、視覚的に理解しやすい構成としました。
エンディングパートは再びイラスト表現に戻し、親しみやすいトーンで締めくくることで、視聴後に温かい印象が残る動画に仕上げています。
▼映像はこちら
パンフレット制作開始・表紙ビジュアルの決定
動画の方向性が固まった段階で、パンフレットの制作もスタートしました。
パンフレットでは動画で使用したイラストを取り入れつつ、動画よりもさらに、新設された工場の紹介に特化した内容で制作しています。
表紙は、動画で使用したイラストをベースに制作しました。

田園の風景を描くことで、温かみや親しみのある雰囲気を演出しています。写真を用いた一般的な施設案内とは異なり、イラストを採用することで、安心感や信頼感につながる表現を意識しています。
また、動画と紙媒体のビジュアルをそろえることで、視覚的なつながりを持たせ、手に取った人が自然に内容へ興味を持てるデザインを目指しています。
パンフレット中面デザイン
パンフレットの中面は、工場内の複雑な機械の仕組みをできるだけ簡略化し、誰でも理解しやすい構成にしました。
実際の機械はより複雑ですが、パンフレットを手に取った方が直感的に理解できるように、お米が米粉になるまでの流れを図式化し、各工程で使われる機械の役割を視覚的に把握できるように整理しています。
また、図と連動する形で写真も積極的に掲載しました。中面で使用している画像は、動画撮影時に同時に撮影したスチール写真を活用し、米粉工場内部の仕組みがよりリアルに伝わる構成としています。 しかし、機械の写真は工程理解に役立つ反面、無機質な印象になりやすい点が課題でした。そこで、全体の色使いをパステルカラー調のやさしいトーンへ統一し、情報の正確さは保ちながら、表紙の温かみのあるイラストと自然につながる紙面デザインを目指しました。

工場紹介パンフレットの完成
完成した工場紹介パンフレットがこちらです。

動画と連動した工場紹介パンフレットは、初めて米粉や製造工程に触れる方にも理解しやすい構成に仕上がりました。イラストや図、写真を組み合わせることで、文字だけでは伝わりにくい工程の流れや工場の役割を、直感的にイメージできる内容となっています。
また、動画とパンフレットでトーンやビジュアルを統一したことで、どちらのツールから触れても同じメッセージが自然に伝わる設計としました。動画で全体像を理解し、パンフレットで情報を整理・補足するなど、それぞれの特性を活かしながら相互に補完し合うツールとして活用いただける販促物が完成いたしました。
工場・施設紹介ツールは「何を伝えるか」から考える
工場や施設を紹介するツールは、目的や見る人によって求められる情報が変わります。工程を知りたいのか、ポイントを把握したいのか、まずは「何を伝えるべきか」を整理することが、分かりやすい構成につながります。ここでは、紹介対象や活用シーンに合わせた、工場・施設紹介ツールの代表的な組み立て方を3つご紹介します。
工場紹介など:「工程」を中心に伝える
工場紹介では、設備の説明を細かく並べるよりも、「何がどう作られているのか」を工程として整理したほうが理解されやすいケースが多くあります。特にBtoBのクライアント向け案内や、社会科見学など初めて工場に触れる方に向けたツールでは、全体像がつかめる“流れ”の見せ方が効果的です。構成のポイントは、工程を順番に説明するだけでなく、最初にフローで全体像を提示すること。そのうえで各工程は、役割を短く補足し、写真や図で理解を支えると読みやすくなります。
施設紹介など:「フロア・エリアごと」にポイントを伝える
施設紹介では、工場のように工程で見せるよりも、「フロア・エリアごと」にページを分けて整理する構成が向いています。各階の役割や特徴を明確にできるため、見学案内や利用者向けの説明にも使いやすく、ポイントを“強み”として打ち出しやすいのがメリットです。
見せ方としては、フロアマップなどで位置関係を先に示し、各階で何ができるのか、どこが見どころなのかを簡潔にまとめるのが基本です。情報が増えやすい場合でも、階単位で区切ることで読み手が迷いにくくなります。
Webや動画と連動し、互いを補い合う
紙のツールだけで完結させず、Webや動画と連動させる設計も、工場・施設紹介では相性が良い考え方です。パンフレットは全体像をコンパクトに整理する“入口”として、動画はツアー形式で空気感や動線を伝える“体験”として活用できます。さらにWebに詳細情報やオンライン見学の導線を用意すれば、興味を持った方がより深く理解できる受け皿になります。媒体ごとに役割分担をすることで、情報を詰め込みすぎず、伝えたい内容を多角的に届けやすくなります。
施設紹介パンフレット制作まとめ
今回は、新設された工場を紹介するパンフレットデザインの制作事例をご紹介しました。
米粉事業と新工場の設備をわかりやすく、親しみやすく伝えることを重視し、イラストや写真などのビジュアル表現を組み合わせ、工程や役割の全体像が直感的に理解できるデザインに整えました。先に制作した動画とトーンや世界観を統一することで、どちらを見ても同じメッセージが自然に伝わるツールとして仕上げています。
JPCでは、パンフレットやカタログなどの印刷物制作はもちろん、動画制作と連動した情報発信ツールの企画・デザインにも幅広く対応しています。イラストを用いたやわらかいデザインをお願いしたい、工場・施設の魅力を分かりやすく伝えたい、といったご要望がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
