2025.06.20
多言語対応Webサイトの作り方とは?制作のメリットや注意点を徹底解説!

ビジネスのグローバル化が進む中、Webサイトの「多言語対応」はますます重要になっています。海外展開を目指す企業はもちろん、日本国内の外国人ユーザーをターゲットにする場合も、多言語対応は欠かせません。
しかし、日本語サイトをただ翻訳しただけでは、ユーザーにとって使いやすいWebサイトにはなりません。適切なナビゲーションやSEO対策を取り入れることで、多言語対応の効果を最大限に引き出せます。
この記事では、多言語対応Webサイトの作り方をわかりやすく解説します。制作のメリットや注意点、制作事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
多言語対応Webサイトとは
明確な定義はありませんが、日本語以外の言語に対応したWebサイトを「多言語対応Webサイト(多言語サイト)」と呼びます。
多言語対応Webサイトは、必ずしも日本語サイトと外国語サイトを同じドメインで運用する必要はありません。たとえば、外国語ページをサブドメイン(例:en.example.com)や国別ドメイン(例:example.cn)で展開するケースもあります。ドメイン単位では別サイトであっても、一連のサイト群を「多言語対応Webサイト」と総称することが一般的です。
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多言語対応に適したドメイン構造については、記事の後半で詳しく解説します。
Webサイトに多言語対応が求められる背景

Webサイトの多言語対応が重要視される理由として、以下の3つが挙げられます。
- インバウンド需要の拡大
- 海外向けEC・サービス市場の成長
- 外国人労働者の増加による国内需要
これらの要因のいずれかが自社の事業に影響を与える場合、早めの対応が重要です。
それぞれの背景について、詳しく解説します。
インバウンド需要の拡大
Webサイトを多言語対応すべき理由の一つに、インバウンド需要の拡大があります。
新型コロナウイルスの影響が落ち着き、日本を訪れる外国人観光客の数は2019年の水準に近づいています。訪日旅行者の多くは、旅行前にホームページで宿泊施設や観光地、飲食店などの情報を調べるため、インバウンド客を効果的に取り込むには、Webサイトの多言語対応が欠かせません。
多言語対応と聞くと、英語のWebサイトを用意すれば十分だと考える方もいるかもしれません。しかし、訪日旅行者の国別割合を見ると、韓国・中国・台湾・香港が上位を占めています。そのため、英語だけでなく韓国語や中国語(簡体字・繁体字)にも対応することで、より多くの外国人旅行者に情報を届けられるでしょう。
参考:訪日外国人旅行者数・出国日本人数|観光庁、年別 訪日外客数の推移|JNTO
海外向けEC・サービス市場の成長
コロナ禍を経て、EC(電子商取引)の重要性は年々高まっています。特に、国内市場と比べて海外市場の経済成長率が高いことから、ビジネスチャンスを求めて越境ECに取り組む企業が増加しています。
越境EC
国外向けのECサイトのこと。多言語・多通貨に対応したASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)を利用するのが一般的で、代表的なプラットフォームにはShopifyなどがある。
たとえば、主要国のEC化率(小売市場に占めるECの割合)を比較すると、以下のようになっています。
- 中国:43.9%
- 英国:36.3%
- 米国:14.2%
- 日本:11.8%
このように、日本よりも海外のEC市場規模は大きく、成長の余地が十分にあります。そのため、国内外の企業がECを活用した販路拡大を進めており、海外向けECを検討・導入する企業の割合も年々増加しています。
また、海外市場への輸出や現地企業との取引では、国内市場と比べて数倍の成長率を示すケースもあります。こうしたビジネスチャンスを逃さないためにも、Webサイトの多言語対応は急務だといえるでしょう。
参考:海外市場の成長がECの積極的活用を後押し(世界、日本)|JETRO
外国人労働者の増加による国内需要
日本国内で事業を展開している場合でも、今後Webサイトの多言語対応が求められる可能性は高まっています。
実際に、日本に住む外国人の数は年々増加しており、令和6年6月末時点の在留外国人数は358万8,956人に達しました。これは前年末比で17万7,964人増(5.2%増)となり、過去最高を更新しています。
こうした背景から、小売業だけでなく、保険・金融サービスなどの生活に密接に関わる業種でも、多言語対応のニーズが高まっています。外国人労働者や居住者に向けた情報提供を強化することで、より多くの顧客を獲得できる可能性があるでしょう。
参考:令和6年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁
多言語対応Webサイトを制作するメリット
多言語対応Webサイトを制作することで、次のようなメリットが期待できます。
- 顧客層・市場の拡大
- ブランドイメージの向上
- 競合優位性の確立
これらのメリットに魅力を感じる場合は、早めに多言語対応を検討するとよいでしょう。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
顧客層・市場の拡大
Webサイトを多言語対応にすることで、海外のユーザーにも情報を届けられるようになります。
特に、英語に加えて中国語や韓国語に対応することで、日本と経済的なつながりが深い国のユーザーにもアプローチしやすくなります。
これにより、新たな顧客層の開拓や市場の拡大が期待できるでしょう。
海外ユーザーに自社の商品やサービスの魅力をしっかり伝えたい場合は、Webサイトの多言語対応を積極的に検討してみてください。
ブランドイメージの向上
Webサイトを多言語対応にすることで、対象国の顧客やビジネスパートナーに対し、「この企業は自国の市場を大切にしている」という印象を与えられます。
単に情報を提供するだけでなく、現地の言語に対応することで信頼感や好感度が向上し、顧客満足度にもつながります。
その結果、企業の国際的なブランド価値を高める効果も期待できるでしょう。
競合優位性の確立
グローバル化が進む現代において、ビジネスの成長にはWebサイトの多言語対応が欠かせません。
競合よりも先に多言語化を進めることで、海外市場での認知度を高め、差別化を図れます。特に、競争が激しい業界では、早期に多言語対応を実施することで優位性を確立しやすくなるでしょう。
競合に先んじたグローバル戦略を展開したい場合は、多言語対応を積極的に検討してみてください。
Webサイトを多言語対応させる方法

Webサイトを多言語対応する方法には、大きく分けて次の2つがあります。
- 言語ごとにWebサイトを制作する
- 多言語化ソリューションを導入する
どちらの方法を選ぶかによって、運用コストや柔軟性が異なります。
それぞれのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
言語ごとにWebサイトを制作する
最もシンプルな方法は、言語ごとにWebサイトを個別に制作する方法です。
この手法を採用すれば、日本語サイトとは別に各言語に合わせたコンテンツを作成でき、ターゲット市場のニーズに応じた情報発信が可能になります。特に、対象国ごとに異なるマーケティング戦略を展開したい場合や、国ごとの規制に対応する必要がある場合に適した方法といえるでしょう。
一方で、対応する言語や対象国が増えるほど、開発や運用にかかるコストも増大します。そのため、導入にあたっては十分なリソースを確保できるかを慎重に判断することが大切です。
多言語化ソリューションを導入する
効率的にWebサイトを多言語対応させる方法として、多言語化ソリューションがあります。これは、元のWebサイトに掲載されている情報をもとに、自動でコンテンツを翻訳するサービスです。
このソリューションを導入すれば、日本語コンテンツを更新・追加した際に、多言語ページにも自動で反映されるため、開発や運用にかかる負担を大幅に軽減できます。手間を最小限に抑えながら、多言語対応を実現したい場合には有効な選択肢といえるでしょう。
ただし、日本語コンテンツをそのまま翻訳する仕組み上、必ずしも対象国の市場ニーズに合った内容になるとは限りません。よりターゲットに特化した情報を発信したい場合は、言語ごとにWebサイトを制作する方法を検討するとよいでしょう。
多言語サイト制作時の4つの注意点

成果の出る多言語サイトを制作するためには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。
- 自動翻訳機能に頼りすぎない
- 「ローカライゼーション」を意識する
- ユーザーが言語を切り替えられるようにする
- 多言語SEOに留意する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.自動翻訳機能に頼りすぎない
多言語化ソリューションを含む自動翻訳機能は便利である反面、必ずしも現地ユーザーにとって自然な文章や適切なコンテンツを生成できるとは限りません。
Google翻訳やWordPressのプラグインを利用すると、表面的な意味は伝わるものの、マーケティングコンテンツとして十分な効果を発揮しないケースもあります。また、自動翻訳されたページは検索エンジンによって低品質なコンテンツとみなされる可能性があり、SEOの観点からもリスクが伴います。
成果の出る多言語サイトを制作するには、ターゲット国の言語や文化に精通したプロの翻訳者に依頼するのが望ましいでしょう。
2.ローカライゼーションを意識する
日本語のコンテンツをそのまま翻訳するだけでは、ターゲット国のユーザーに十分な価値を提供できず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。
たとえば、小売業の場合、アメリカ向けのサイトでは「プレジデントデーセール(2月)」や「イースターセール(3月~4月)」に合わせたキャンペーン情報が求められます。一方で、中国向けサイトでは、新年ではなく「旧正月」に合わせたプロモーションの方が効果的。
また、単に翻訳するだけでは、対象国の法律に違反するリスクもあります。たとえば、ヨーロッパ向けのWebサイトでは、EU一般データ保護規則(GDPR)に準拠したプライバシーポリシーを掲載する必要があります。中国向けのサイトでは、中国政府の規制に適合した情報発信が求められるでしょう。
このように、単なる翻訳ではなく、文化・法律・宗教などを考慮してコンテンツを最適化することを「ローカライゼーション」といいます。ターゲット国のユーザーにとって本当に役立つWebサイトにするためにも、ローカライゼーションを意識することが重要です。
3.ユーザーが言語を切り替えられるようにする
ユーザーのIPアドレス情報をもとに、自動的に適切な言語のページへリダイレクトすることは技術的に可能です。
IPアドレス
ネットワーク上のデバイスを識別するために使用される一意の番号で、インターネットで通信するための住所(Internet Protocol Address)のようなもの。123.145.167.189のような数列であらわされる。
リダイレクト
ユーザーが特定のURLにアクセスした際に、自動的に別のURLへ転送される仕組みのこと。検索エンジンの評価を維持したままページを移動させたり、ユーザーを適切なコンテンツへ誘導したりする目的で利用される。
しかし、IPアドレスによる位置情報は必ずしも正確ではありません。たとえば、韓国のIPアドレスからアクセスがあったとしても、実際には他の国からの接続である可能性も考えられます。そのため、言語の切り替えは自動化するのではなく、ユーザーが自ら選択できる仕組みにするのが望ましいといわれています。
どのページにアクセスしても言語を変更できるように、言語切り替え機能はすべてのページに配置し、現在選択中の言語が一目でわかるようにするとよいでしょう。また、言語を切り替えた際にデザインやレイアウトが変わらないようにすることで、ユーザーの混乱を防げます。
4.多言語SEOに留意する
検索エンジンやSNSの利用状況は国ごとに異なり、キーワードや検索習慣も多様です。そのため、Webマーケティングに強い多言語対応サイトを構築するには、各言語に適したSEO対策(多言語SEO)が欠かせません。
SEO
Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略。Webサイトが検索エンジンに表示されやすいよう対策すること。
多言語SEOを行う際に意識すべきポイントとして、次のような施策が挙げられます。
- hreflangタグの設定
- 言語ごとのXMLサイトマップの作成
- 地域ターゲティング
- 言語切り替え機能の設置
- 対象の国の検索エンジンを考慮する
- 各国の検索キーワードを適切に選定する
先述した言語切り替え機能は、多言語SEOにも有効です。また、検索エンジンのシェアは国によって異なり、西側諸国ではGoogleが主流ですが、中国では百度(バイドゥ)、ロシアではYANDEX(ヤンデックス)が広く利用されています。ターゲット市場に合わせて、適切な検索エンジン向けの最適化を行うことが重要です。
多言語SEOは奥が深いため、さらに詳しく知りたい場合は、関連する記事も参考にしてみてください。
関連記事:多言語サイトのSEO対策のポイントを解説!Googleの海外サイト判別方法とは
多言語サイトを作る前に決めるべき5つのこと

多言語サイトの制作では、途中での修正が難しい要素も多いため、事前の計画が重要になります。スムーズに制作を進めるためにも、まずは次の5つのポイントを決めておきましょう。
- 多言語対応のWebサイトを制作する目的
- 対応する言語
- Webサイトのサーバー構成
- URL構造
- 対応するSEO要素
これらの要素を明確にすることで、運用しやすく、成果の出やすい多言語サイトを構築できます。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.多言語対応のWebサイトを制作する目的
Webサイトのデザインや機能、コンテンツの方向性を明確にするために、まずは多言語対応のWebサイトを制作する目的をはっきりさせておきましょう。
たとえば、新規市場の開拓を目指す場合は、コンテンツマーケティングを行いやすいようにブログ機能(オウンドメディア機能)を導入すると効果的です。
現地ユーザーの利便性向上が目的なら、FAQページを充実させることが重要になります。また、複雑なデザインよりもシンプルなレイアウトのほうが使いやすいでしょう。
一方で、対象国ごとにブランドイメージを強化したい場合は、デザインにこだわったサイトが求められます。ただし、国ごとに好まれるデザインが異なる点にも注意が必要です。
制作の初期段階で目的を明確にしておくことで、後からの修正や方向転換を最小限に抑え、スムーズにサイト構築を進められます。
2.対応する言語
後から言語を追加することも可能ですが、効率的にサイトを制作するためには、あらかじめ対応する言語を明確にしておくことが重要です。
たとえば、アメリカ向けのWebサイトであれば、英語のみで十分な場合もあります。しかし、カナダ向けのWebサイトを制作する際は、公用語である英語とフランス語の両方に対応する必要があるでしょう。
対応する言語を増やせば、より広い市場へアプローチできますが、その分、翻訳や運用にかかる手間やコストも増加します。どの言語に対応すべきかは、ターゲット市場のニーズを踏まえ、費用対効果の観点から慎重に検討することが大切です。
3.Webサイトのサーバー構成
Webサイトはサーバー上に構築されますが、多言語対応サイトの場合、サーバーの構成には主に次の2つの方法があります。
- 1か所のサーバー(日本のサーバー)にすべてのWebサイトを構築する
- 対象国ごとにサーバーを用意し、それぞれの国向けサイトを構築する
多言語SEOの観点では、対象国ごとにサーバーを設置するのが望ましいとされています。検索ユーザーとサーバーの距離が離れると、ページの表示速度が遅くなり、ユーザビリティの低下につながるためです。
ただし、サーバーを分散させると、その分管理の手間やコストがかかります。また、サーバーの所在地が必ずしも対象国と一致するわけではなく、IPアドレスによる位置分析も精度に限界があるため、サーバーの場所に過度にこだわる必要はないという考え方もあります。Googleも、サーバーの位置が検索順位に直接影響しないことを明言しています。
サイト公開後にサーバー構成を変更することも可能ですが、移転にはリスクが伴います。そのため、制作段階で適切なサーバー構成を決めておくと安心です。
4.URL構造
多言語対応WebサイトのURL構造には、主に以下の4種類の方法があります。(ukはイギリスを示す)
- 国別のドメイン方式(example.uk)
- サブドメイン方式(uk.example.com)
- サブディレクトリ方式(example.com/uk/)
- URLパラメータ方式(example.com?loc=uk)
このうち、4番目のURLパラメータ方式はGoogleが公式に非推奨としています。それ以外の3つについては、どれを選択しても問題ありませんが、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
URL構造 | メリット | デメリット |
---|---|---|
国別のドメイン | 既存サイトとの分割が容易現地サーバーにサイト構築できる該当国向けであることを伝えやすい | 国別ドメインを取得できるとは限らないドメイン維持に費用がかかる |
サブドメイン | ドメイン取得費用がかからない現地サーバーにサイト構築できる | URLのみではどこの国向けのサイトなのか認識しにくい |
サブディレクトリ | ドメイン取得費用がかからない | 現地サーバーにサイト構築できないURLのみではどこの国向けのサイトなのか認識しにくい |
どの方法を選ぶべきか迷ってしまう場合は、多言語対応Webサイトの実績が豊富なWeb制作会社に相談してみてください。
参考:多地域、多言語のサイトの管理|Google検索セントラル
5.対応するSEO要素
多言語SEOを適切に行うためには、さまざまなポイントを押さえる必要があります。
「言語を切り替えられるようにする」「対象国ごとの検索キーワードを意識する」といった基本的な対策は、比較的容易に実施できます。一方で、「hreflangタグの設定」や「言語ごとのXMLサイトマップの作成」など、専門知識を要する施策もあり、対応には一定の手間がかかるのが実情です。
hreflangタグ
ページの対象言語を検索エンジンに伝えるためのタグ。たとえば、日本語のページなら「hreflang=”ja”」と指定する。
XMLサイトマップ
検索エンジンにWebサイトのページ内容を正しく伝えるためのファイル(sitemap.xml)。サイト内の構造を検索エンジンに適切に認識してもらうための役割を果たす。
SEO対策の範囲が広がるほど、制作コストも増加するため、どこまで対応すべきかは慎重に検討する必要があります。Web制作会社と相談しながら、予算内で実施可能な施策に優先順位をつけるとよいでしょう。
多言語サイトの制作費用相場

多言語サイトの制作には、以下のような費用が発生します。
項目 | 詳細 | 費用相場 |
---|---|---|
サイト制作費用 | 企画・構成・ワイヤーフレーム作成写真撮影・素材制作デザイン・コーディング公開作業など | 小規模サイト:50万円〜100万円程度大規模サイト:100万円〜300万円程度 |
多言語SEO対策費用 | hreflangタグ設定言語ごとのXMLサイトマップ作成など | 50万円〜100万円程度 |
翻訳費用 | 翻訳・校閲など | 人力翻訳:文字単価10円〜30円程度機械翻訳:文字単価10円〜(英語の場合) |
運用費用(ランニングコスト) | ドメイン・サーバー代サイト保守など | ドメイン:年額1,000円〜5,000円程度サーバー:年額1万円~サイト保守費用:月額5万円~ |
すべてを合わせると、多言語サイトの制作には言語1つあたり300万円~500万円がかかるケースが一般的です。
対応言語数が増えるほど費用も上がりますが、デザインを共通化することで、1言語あたりの制作単価を抑えることも可能です。予算に応じて、最適な方法を検討するとよいでしょう。
関連記事:多言語ホームページ制作の費用相場はいくら?海外サイトの必要性とは
多言語サイトの作り方
多言語サイトの制作は、以下の工程に沿って進めていきます。
- 要件定義
- サイトマップ(構成)・ワイヤーフレーム作成
- テキスト制作・翻訳
- 写真撮影・動画制作
- デザイン・コーディング
- 最終確認・公開・運用
対象国の市場調査や翻訳作業が必要になるため、通常のWebサイト制作よりも期間が長くなることが一般的です。
スムーズに進めるためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.要件定義
要件定義とは、多言語サイトに必要な機能や仕様を決める工程です。スムーズに進めるためにも、「どのような目的」で「どの国」の「どの言語」を対象にサイトを制作するのかを明確にしておきましょう。
また、URL構造やサーバー構成、対応するSEO要素の範囲も、この段階で決めておくことが重要です。事前に整理しておくことで、後の工程での手戻りを防ぎやすくなります。
さらに、翻訳作業やサイト公開作業を依頼主とWeb制作会社のどちらが担当するのかを明確にしておくことも必要です。役割分担をはっきりさせておくことで、制作の進行がスムーズになります。
2.サイトマップ(構成)・ワイヤーフレーム作成
次に、Webサイトに掲載するページを整理し、「サイトマップ」という設計図に落とし込みます。ページ同士の親子関係を可視化し、構成がわかりやすくなっているかを確認しましょう。

あわせて、各ページのデザインやレイアウトを決めるために「ワイヤーフレーム(WF)」を作成します。ワイヤーフレームは、本格的なデザイン作業に入る前の設計図として活用されるもので、ページ全体の構成を視覚的に把握するのに役立ちます。
細かいデザインの調整は不要ですが、ワイヤーフレームをもとにテキストや写真を準備していくため、大幅な変更がある場合はこの段階で伝えておくことが重要です。
3.テキスト制作・翻訳
サイトマップやワイヤーフレームの内容に沿って、Webサイトに掲載するテキストを作成します。すでに日本語サイトがあり、それをベースに多言語化する場合は、そのまま翻訳工程に進んでも問題ありません。
翻訳作業のコストを抑えたい場合は、スキルマーケットを活用したり、機械翻訳を利用したりする方法もあります。ただし、正確で信頼性の高い文章を用意するには、専門の翻訳会社に依頼するのが望ましいでしょう。
翻訳を依頼する際は、多言語対応Webサイト用の原稿であることを事前に伝えておくことが重要です。SEOに詳しい翻訳会社であれば、検索エンジン対策も考慮した訳文を提供してくれるため、より効果的なサイト運用につながります。
4.写真撮影・動画制作
テキスト制作と並行して、Webサイトに掲載する写真や動画を準備します。既存の日本語サイトの素材をそのまま転用することも可能ですが、ターゲット国のユーザーに合わせたコンテンツを制作する場合は、新たに撮影するのも一つの方法です。
また、動画の訴求力を高めるために、現地向けの字幕やナレーションを追加するのも効果的です。視聴者にとって理解しやすいコンテンツにすることで、情報の伝わり方が大きく変わります。
写真や動画のクオリティは、サイト全体の印象にも影響を与えるため、必要に応じて専門の制作会社に相談しながら進めるとよいでしょう。
JPCでは、英語や中国語、韓国語のナレーターの手配から、映像撮影・編集までワンストップで対応しています。お気軽にご相談ください。
5.デザイン・コーディング
テキストや写真、動画などの素材が揃ったら、デザイン工程に進みます。
既存の日本語サイトと統一感を持たせるために、同じデザインを採用するケースも少なくありません。
デザインが完成したら、Webページとして機能させるためのコーディング作業を行います。
この工程では、レイアウトの実装に加え、多言語SEOの一環としてhreflangタグの設定なども行います。
コーディングの仕上がりによって、サイトの表示速度やユーザビリティにも影響が出るため、最適化を意識しながら進めることが大切です。
6.最終確認・公開・運用
コーディングが完了したら、Webページを細かくチェックし、問題がなければ公開します。
採用するURL構造によって公開の手順は異なりますが、適切な設定を行うことでスムーズに運用を開始できます。
また、サイト公開後も定期的なメンテナンスやコンテンツの更新が必要になります。
多言語サイトは運用体制も重要なため、継続的な管理をどのように行うか事前に決めておくとよいでしょう。
多言語サイトの制作事例
それでは最後に、JPCが携わった多言語対応Webサイトの制作事例をいくつかご紹介します。
- 【英語】製造・建設関連企業のコーポレートサイトのフルリニューアル
- 【英語】製造業のホームページ制作
- 【タイ・ミャンマー・ベトナム・インドネシア】農機紹介の多言語サイト制作
- 【英語・中国語】ブランドサイト制作
多言語対応のWebサイトは、業種や目的に応じた最適な設計が求められます。
JPCでは、これまでさまざまな企業の多言語サイトを制作してきました。自社に合った多言語サイトの構築を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【英語】製造・建設関連企業のコーポレートサイトのフルリニューアル
こちらは、製造・建設関連企業のコーポレートサイトを英語でフルリニューアルした事例です。
日本語サイトの内容を精査し、必要な情報を抽出したうえで英語サイトを制作しました。NEWSやIR情報は、クライアントが自社で更新しやすいように、CMS(WordPress)を導入して構築している点が特徴です。
また、コーポレートサイトとしての信頼性を重視し、シンプルかつ直感的に情報が伝わるデザインを採用。企業理念や事業内容を明確に伝えられるよう、視認性の高いレイアウトを意識しています。
さらに、グローバルなユーザーにも快適に閲覧してもらえるよう、レスポンシブ対応を施し、PC・スマートフォン・タブレットなど、さまざまなデバイスで最適に表示されるよう設計しました。
【英語】製造業のホームページ制作
こちらは、製造業のコーポレートサイトを英語対応した事例です。

出典:株式会社JRC
デザインは日本語サイトのトーンを踏襲しつつ、グローバル向けに最適化。不要な情報を省き、海外ユーザーにとって重要なコンテンツを精査して掲載しました。
また、パソコン・スマートフォンのどちらでも快適に閲覧できるよう、レスポンシブデザインを採用。マルチデバイス対応を徹底し、画面サイズを問わず視認性と操作性を確保しています。
さらに、サーバー移転からCMS構築までを一貫して対応し、運用のしやすさにも配慮しました。コンテンツの更新が容易に行えるよう、WordPressを導入して管理の負担を軽減しています。
【タイ・ミャンマー・ベトナム・インドネシア】農機紹介の多言語サイト制作
こちらは、農機紹介のホームページをタイ・ミャンマー・ベトナム・インドネシアの言語に対応させ、多言語展開している事例です。

出典:ヤンマーアグリ株式会社
ターゲットとなる東南アジア各国のユーザーに向け、各国で盛んなSNSへ誘導する導線を設計。訪問者がスムーズに情報へアクセスできるように工夫しています。
また、多言語対応の特性を活かし、言語選択機能を充実させている点も特徴です。ユーザーが直感的に言語を切り替えられるよう、わかりやすいUIを採用しています。

まとめ
多言語対応のWebサイトは、海外市場での認知度向上や信頼獲得だけでなく、日本国内にいる外国人ユーザーへの情報提供にも大きな効果を発揮します。グローバル化が進む現代において、Webサイトの多言語化は単なる選択肢ではなく、競争力を高めるための必須施策といえるでしょう。
しかし、成果の出る多言語対応Webサイトを制作するには、単なる翻訳では不十分です。対象国の習慣・文化・法律を踏まえ、直感的に使いやすい設計にすることが求められます。 また、多言語SEOを適切に施すことで、検索エンジンからの流入を最大化し、より多くの潜在顧客にアプローチできます。
さらに、対応言語の選定、サーバー構成、URL設計、コンテンツ管理など、多言語サイト特有の要素を慎重に検討することも重要です。こうした専門知識を要するため、実績豊富な制作会社に相談するのが、効果的なサイト運用への近道となります。
JPCは、多言語対応Webサイトの制作を数多く手掛けており、英語・韓国語・中国語はもちろん、タイ・ベトナム・インドネシアといった東南アジア市場向けのサイト構築にも対応可能です。 翻訳・SEO対策・運用サポートまで一貫して提供できるため、Webサイトの多言語化を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。