2025.10.23
製品カタログ制作事例 –色調や透明度にこだわったイメージ撮影
今回は、大阪に本社を構えるガラス建材メーカー様よりご依頼いただいた製品紹介カタログの制作事例をご紹介します。
製品カタログは、製品の魅力を総合的に伝えることに特化した販促ツールです。営業活動や展示会、店舗での案内など、さまざまな場面で活用され、企業の製品PRツールとして重要な役割を担っています。しかし、撮影やデザインの段階で「仕上がりのイメージ共有が難しい」「修正が多いと完成まで時間がかかるのでは」といった不安をお持ちの企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、同社よりご依頼いただいた製品カタログ制作を中心に、写真撮影に注力した制作事例をご紹介します。製品カタログの制作や改善をご検討されているご担当者様の参考になれば幸いです。
目次
製品カタログデザイン制作の概要
まず、製品カタログデザイン制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主-大阪のガラス建材メーカー様-
ご依頼いただいたのは、大阪に本社を構えるガラス建材メーカー様です。この企業様は主に建築用のガラス製品や関連材料の製造、販売を行っています。建物の窓、外壁、インテリアなどに使用される高機能なガラス製品を提供し、建築物のデザイン性や性能向上に貢献しています。製品には、断熱性や遮音性、防犯性能を持つものや、美観を重視したデザインガラスなどがあります。
これまでJPCでは、展示会用のブースやカタログのデザインなど幅広い販促物を継続的にお任せいただきました。
ご依頼内容-製品カタログの制作-
今回の案件は、クライアント様の主力商品であるガラスブロックの製品カタログの制作です。
従来のカタログの問題点は、製品写真の撮影条件が統一されておらず、透明度や色調の微妙な違いを比較しにくいことでした。そこで、新たに制作するカタログでは、ガラスブロックの違いが一目で理解できる写真を用いることと、違いが視覚的に分かりやすいデザインを希望されました。
デザイン制作におけるポイント-3DCGの撮影ラフで完成イメージを明確化
製品撮影からJPCにご依頼いただいたため、各製品の透明度や色調がより的確に表現できるよう、3DCGで撮影ラフを作成しました。事前にチームやクライアント様と完成イメージを共有することでスムーズな進行が可能になり、より完成度の高い製品カタログになりました。
製品カタログのデザイン制作
表紙デザイン
まずは、表紙のデザインから着手しました。
提案1(イラスト案)では、ガラスブロックの基本形である四角形を用いて「GLASS BLOCK」の文字を構成しました。それぞれの四角形には色を変えたり、対角線で分割して微妙な色調を施したり、グラデーションを用いたりすることで、多彩な表情を持たせました。
提案2(イラスト案)でも、ガラスブロックの基本形である四角形をモチーフに採用しました。大小さまざまな四角形をランダムに配置し、全体をブルートーンでまとめながら、部分的にピンクやイエローを加えることで、実際のガラスブロックが持つ多彩な色合いを感じられるようにしています。
提案3(撮影案)では、3種類のガラスブロックを黒背景で配置し、それぞれの個性を際立たせながら、ジュエリーのような高級感を演出。撮影時のイメージがクリアになるように、3DCGを用いて色味や透明度を丁寧に調整しました。
クライアント様には、これらの3パターンを提出しました。

完成イメージが明確な点を評価いただき、撮影案(提案3)が選ばれました。

中面デザイン
中面デザインでも、撮影条件を想定して撮影ラフを作成しました。
各ブロックの個性をしっかりと捉えた写真になるよう、3DCGを活用して配置、背景、光源等を統一。同種のガラスブロックをワンカットに収め、色やサイズの違いが一目でわかるように工夫しました。最もフラットな状態で製品を見比べられるような構成になっています。
作成した画像は整然と並べることで、製品カタログとしての機能性を重視した、シンプルかつわかりやすいデザインに仕上げました。

中面も正確な仕上がりイメージを提示することができ、ほぼ初稿で出した案が採用されました。
表紙・中面ともにラフ案をもとに撮影へと進みます。
自社スタジオでの製品撮影
カタログに掲載する製品の撮影は、JPCが保有するワンストップスタジオ京都で行いました。
表紙の撮影では、まずは3DCGで作成した撮影ラフを再現するため、スタジオの床には白い光沢のある塩ビ板を敷き、適度な映り込みを演出。その上にガラスブロックを配置し、背後から光を当てて角度や強弱を調整しながら、3DCGのイメージに近づけていきました。
イメージに寄せた後は、より魅力的に見えるよう細部を再調整し、最終カットを収めました。
その後、クライアント様から「白背景バージョンも欲しい」とご要望があり、黄色のガラスブロックを背景色とのバランスを考えて青色に変更して追加撮影を実施しました。
最終的に、この白背景バージョンが採用されることになりました。
3DCGで作成した撮影ラフに沿って準備を進めるだけで済んだため、セッティング時間を大幅に短縮できただけでなく、現場で生まれたアイデアにも柔軟に対応でき、お客様のご要望により近いイメージを実現できました。

中面の撮影でも、まずは3DCGで作成した撮影ラフを忠実に再現しました。
ガラスブロックの種類や数が多く、同一のライティングでは特徴を十分に表現できないものもありましたが、ライティングを変えて撮影し、後日合成することで補完しました。
撮影後は、3DCGで作成した撮影ラフを実際に撮影した画像に差し替えました。その後、誌面全体のバランスを確認しながら画像をトリミング。色調の調整を行い、完成となりました。

製品カタログの完成
完成した製品カタログがこちらです。

初めに3DCGで作成した撮影ラフに非常に近いデザインに仕上がりました。
初めから完成イメージを明確化することで、クライアント様も安心して撮影から制作まで進むことができ、クオリティの高いカタログ制作を実現できました。
3DCGの撮影ラフを用いる3つのメリット
広告制作や商品撮影を依頼する際、完成イメージのズレや修正の多さ、社内での承認・共有に悩むことはありませんか?3DCGで作る撮影ラフを活用すれば、完成形を立体的に確認でき、修正も柔軟に対応可能。関係者全員が同じイメージを共有できるため、安心して制作を進められます。
本章では、カタログ制作において3DCGの撮影ラフを用いる3つのメリットをご紹介します。
1. 完成イメージの明確化
3DCGで作られた撮影ラフは、完成映像の雰囲気や構成を立体的に可視化できるため、「思っていたイメージと違う」といったズレを防ぎます。言葉や静止画だけでは伝わりにくい質感・光の方向・カメラワークまでも確認できるので、発注段階から安心して制作を進められます。完成後の仕上がりを具体的に想像できるため、安心感をもって進めることができます。
2. 要望の反映がスムーズ
3DCGラフなら、構図や動き、照明などの変更をすぐに反映できるため、打ち合わせ段階で細かい調整が可能です。完成後に修正が発生するリスクを減らし、初期段階で理想のビジュアルに近づけられます。アイデアをその場で確認・比較できるので、「もっとこうしたい」という希望を積極的に反映でき、クリエイティブな共同制作が実現します。
3. 柔軟な修正とアイデア反映
現場で新たなインスピレーションが生まれた場合でも、3DCGラフを基に迅速に構図や光の調整が可能です。実物やセットでは難しい変更も容易に試せるため、クリエイティブな提案を柔軟に反映できます。これにより、より魅力的でお客様の要望に沿ったビジュアルへ完成させることができます。一方、3DCGを用いた撮影ラフに向かない製品もあります。ガラスや板など材質が硬く形が安定している製品は完成イメージにズレが出にくいですが、洋服などの形や色味を重視する製品は、見え方が変わる可能性があります。製品の素材や形状の特性に合わせ、うまく活用やすることが大切です。
製品カタログデザイン制作まとめ
今回は、大阪のガラス建材メーカー様よりご依頼いただいた製品カタログの制作事例をご紹介しました。
表紙・中面ともに、撮影対象となるガラスブロックのテクスチャーや色味、配置の仕方までを事前に表現し、完成イメージを明確に提示できた結果、クライアント様にも安心して撮影を迎えていただくことができました。そして、撮影自体もスピーディに進んだため、クライアント様の要望に柔軟に対応し、より完成度の高いカタログに仕上げることができました。
JPCでは、撮影からデザイン、印刷、加工、納品までをワンストップで対応できる体制を整えております。「製品カタログを構成から撮影、印刷まで1社に任せたい」「同じ企業として毎年統一感を持たせたい」といったご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
製品カタログのデザイン制作について詳しくは、こちらのページもご覧ください。
