2026.06.25
多言語カタログ制作事例 – 海外3エリアに合わせたローカライズ設計 –
今回は、世界各地で事業を展開される大手タイヤメーカー様よりご依頼いただいた、多言語対応カタログの制作事例をご紹介します。
カタログを海外向けに展開するとき、ただ言葉を置き換えるだけでは十分とはいえません。国が変われば、文化も生活環境も、タイヤに求められる性能も大きく異なります。そのまま訳しただけのカタログでは、現地の読み手に「自分たちに向けたもの」と感じてもらいにくいのです。
本記事では、3つのエリアに向けて制作した多言語カタログの事例をもとに、翻訳にとどまらない「ローカライズ(地域最適化)」の考え方をご紹介します。海外展開を見据えた販促ツールの制作をご検討の方は、ぜひご参考ください。
多言語カタログデザイン制作の概要
まず、今回の多言語カタログ制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主 -神奈川の大手タイヤメーカー様-
今回ご依頼いただいたのは、世界各地で幅広い製品を展開される大手タイヤメーカー様です。地域ごとの市場特性に合わせ、緻密なマーケティング戦略を展開されています。
ご依頼内容 -3エリアに向けた多言語対応カタログ-
ご依頼いただいたのは、グローバル戦略の一環として制作する多言語対応のタイヤカタログです。「アジア&オセアニア」「中東」「中南米」という3つのエリアに向けて、それぞれの地域に最適化したカタログを制作することになりました。
国境を越えれば、言語が異なるのはもちろん、文化や道路事情、ユーザーがタイヤに求める性能までもが変わってきます。だからこそ、テキストを各言語に直訳するだけの表面的な対応ではなく、現地のユーザーの心に深く届く地域最適化に徹底的にこだわりました。
デザイン制作におけるポイント -ビジュアルの統一感と地域最適化の両立-
このメーカー様は、グローバル市場でプレミアムなブランドイメージを確立されています。一方、従来は全世界共通のデザイン・構成が主流となっており、地域特有の細かなニーズに応えきれていないという課題を抱えておられました。
そこで本プロジェクトでは、次の3つを重要なテーマとして設定しています。
- 各エリアのニーズに即した製品の的確な選定
- 言語や文化の違いに寄り添った、現地ユーザーへ直感的に伝わるビジュアルと構成
- ブランドの世界観・統一感を保ちながら実現する、各市場への最適化
目指したのは、単なる「翻訳」ではなく「ローカライズ」であり、スペックを並べる「製品紹介」にとどまらない「ブランド体験の設計」でした。これをコンセプトの軸に据え、企画・制作をスタートさせました。
多言語カタログデザイン制作の流れ
ここからは、今回のカタログがどのような流れで完成したのかをご紹介します。今回の制作は、大きく5つのステップで進行しました。
現地目線のヒアリングと、統一感×地域性の設計
はじめに行ったのは、現地目線での綿密なヒアリングです。各エリアでの売れ筋商品、競合と差別化すべき訴求ポイント、ユーザー層の属性などを徹底的に洗い出しました。このリアルな一次情報をもとに、地域別の製品ラインナップ、ページ構成、コピーのトーンを設計し、各国で実際の使用シーンをイメージしやすい構成へと落とし込みました。
複数の地域へ同時に展開するうえで欠かせないのが、ブランドとしての一貫性です。全体のシリーズ感は厳格に保ちつつ、各エリアが持つ個性も損なわれないよう、レイアウトやカラーリング、ビジュアルトーンに各地域の文化的背景を反映させました。統一感と地域性、その両方を成立させることを意識した設計です。
AI画像生成を活用したビジュアル制作
今回の大きな特徴のひとつが、AI画像生成技術の積極的な活用でした。
タイヤカタログでは、過酷な走行条件や雄大な自然環境といった、現地での大規模なロケ撮影が物理的にもコスト的にも難しいシーンが数多くあります。そこで、AI生成によって高品質な背景ビジュアルを作成し、実際の製品写真と自然に組み合わせることで、インパクトのある表紙を構築しました。
この技術を用いることで、大規模な撮影を行わずとも、リアリティと地域性に応じた演出を両立させています。

多言語の特性に合わせたレイアウト設計
今回対応したのは、英語・スペイン語・アラビア語の3言語です。ここで重要になるのが、言語ごとの特性でした。
とりわけアラビア語は、視線が「右から左」へ動きます。そのため、カタログ全体のレイアウトや写真の向きを反転させる専用レイアウトを採用するなど、細部まで配慮を徹底しました。どの言語でも等しく高い視認性と読みやすさを実現できるよう、フォント選びや行間の調整にもこだわっています。


ネイティブ校正と多形式での納品
「言葉の意味は合っていても、現地の人が読むと違和感がある」。こうした事態を防ぐため、各言語のネイティブスピーカーによる入念なチェックを経て校正を行いました。表記ミスだけでなく、文化的な禁忌(タブー)に触れていないか、デザインの印象は適切かといった点にも深く配慮しています。
最終的には、高解像度の印刷用データに加え、Webカタログとしても展開できるデジタル形式でも納品いたしました。
多言語カタログの完成
完成したデザインがこちらです。

3つのエリアそれぞれで「自分たちに向けて作られた」と感じてもらえる、地域最適化を徹底した多言語カタログです。
言語の壁を越え、現地の文化に寄り添ったカタログに仕上がりました。
効果的な多言語カタログ制作のために準備しておくべき3つのポイント
海外向けの多言語カタログは、制作会社に任せきりにするのではなく、発注する側が事前に情報を整理しておくことで、仕上がりの訴求力が大きく変わります。ここでは、効果の出るカタログにするために、依頼前におさえておきたい3つのポイントをご紹介します。
1. 地域ごとの「売れ筋」と「刺さる訴求軸」を把握しておく
同じ製品でも、地域によって選ばれる理由や重視される性能は異なります。ある地域では価格の手頃さが、別の地域では耐久性や性能が決め手になる、ということも珍しくありません。
現地で何が支持されているのか、どの強みが響くのかを発注前に押さえておくと、各エリアで「自分たちに向けて作られた」と感じてもらえる、訴求力の高いカタログになります。制作会社にこうした一次情報を渡せるかどうかが、仕上がりを左右する大きなポイントです。
2. 現地ユーザーの「使用シーン」をイメージできる情報を集めておく
製品のスペックだけでは、現地の読み手にリアリティが伝わりにくいもの。現地でどんな環境・場面で使われるのかが分かると、写真やビジュアルに一気に説得力が生まれます。
たとえば、その地域特有の気候や道路事情、生活スタイルといった情報です。実際の使われ方に根ざした見せ方ができれば、読み手の納得感が高まり、購買意欲にもつながっていきます。
3. ブランドとして「絶対に守りたい世界観」を言語化しておく
地域最適化を進めるほど、各版の印象がバラバラになってしまうリスクがあります。せっかく築いたブランドイメージが、地域ごとに分散しては本末転倒です。
配色やトーン、ロゴの運用など「ここは崩さない」という軸を発注前に言語化しておきましょう。守るべき部分が明確になっていれば、地域ごとに最適化を進めても、シリーズとしての統一感とブランド価値を保てます。
多言語カタログデザイン制作まとめ
今回は、JPCの多言語カタログデザイン制作サービスで手掛けた、世界各地で事業を展開される大手タイヤメーカー様の事例をご紹介しました。
3つのエリアそれぞれの文化やニーズに寄り添いながら、紙面全体のトーンを整え、どの言語でも読みやすいレイアウトに仕上げました。現地での撮影が難しいシーンにはAI画像生成を活用し、インパクトのあるビジュアルで表現しています。
ブランドの世界観を保ちつつ、地域に合わせて内容を最適化することで、現地ユーザーのニーズに応えるカタログが完成しました。
カタログ制作会社のJPCでは、撮影・企画からデザイン、ネイティブチェック、印刷・加工、納品までワンストップで対応しています。グローバル展開において「ただの翻訳ではない、真に効果的な現地向けツール」をお求めのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。