2026.05.21
総合カタログ制作事例 – シリーズ3年目の集大成、クライアント様と育てるカタログデザイン
今回は、大阪に本社を構える建材メーカー様よりご依頼いただいた、製品総合カタログ 2026年度版の制作事例をご紹介します。
総合カタログは、一度つくって終わりではありません。製品の入れ替わり、ユーザーからの声、営業現場での使い勝手——毎年の更新には、その都度向き合うべき課題があります。だからこそ、年次更新を「ただの差し替え」で終わらせるか、カタログを進化させる機会にするかで、長い目で見たときの品質に大きな差が生まれます。
本記事では、JPCが長年にわたって制作をお任せいただいている200ページ超の大型総合カタログの案件を例に、表紙のシリーズ設計や中面の改善の工夫を中心に、継続制作ならではの取り組みをご紹介します。大規模カタログの年次更新やリニューアルを検討されているご担当者様の参考になれば幸いです。
目次
総合カタログデザイン制作の概要
まず、今回の総合カタログデザイン制作の概要についてご紹介いたします。
ご依頼主 -大阪の建材メーカー様–
今回は、大阪に本社を構える建材メーカー様からご依頼いただいた案件です。新築木造住宅向けの外装建材、内装建材・基礎建材などの開発・製造・販売を手がけておられます。JPCではカタログ制作をはじめ、展示会ブースデザインやリーフレット制作など、幅広い販促物を継続的にお任せいただいています。
ご依頼内容 -製品総合カタログの 2026年度版制作-
ご依頼いただいたのは、クライアント様が取り扱う全製品を網羅する200ページ超の総合カタログの2026年度版制作です。施工業者様や代理店様が製品を選定する際の主要なツールであり、製品情報に加え企業情報や受賞実績なども掲載する、営業活動とブランディングの両方を担うカタログです。
JPCが本カタログの制作をお任せいただいて10年近く。構成やデザインの改善を重ね、製品の情報整理や撮影、クライアント様のブランディングに関するノウハウを蓄積しながら、毎年のカタログ更新に取り組んできました。
デザイン制作におけるポイント -3年シリーズの集大成-
そんな中、2024年度からは少しユニークな進め方をしています。同じテイストの表紙デザインで3年間継続する前提で、初年度に3年分のデザイン展開を含めて提案。今年度はその表紙シリーズの3年目にあたります。
なお、過去の制作事例もあわせてご覧いただくと、年ごとの変化をより詳しくお読みいただけます。
1年目の制作ブログはこちら 総合カタログデザイン制作事例 – 表紙デザインと新商品撮影
2年目の制作ブログはこちら 総合カタログ制作事例 – 読みやすさを向上させるデザインリニューアル
総合カタログデザイン制作の流れ
表紙デザイン ― シリーズ設計の軸と毎年の調整
今回の表紙シリーズでは、クライアント様の建材製品をイラスト化したオリジナルグラフィックを軸に、毎年カラーや配置を調整しながら統一感を保つ設計をしています。
1年目は白を基調としたクリーンなデザイン。当初、表紙のメインカラーは1年ごとに白→白緑→緑とグラデーション的に移行する予定でしたが、2年目は緑をメインカラーに据えた案が採用されました。
この決定により、3年目の方向性に工夫が必要になりました。前年の緑色のイメージと差をつけるために、これまでにない黒を基調とした表紙案も含め、複数案を再提案しました。

しかし、クライアント様の「インパクトはあるが、建材カタログとしてはやや重い印象」というフィードバックを決め手に、最終的には緑と白を組み合わせたデザインに決定。グラフィックの配置や色のバランスを緻密に調整し、1年目・2年目とは異なる表情を持たせた表紙に仕上げました。

複数年のデザイン展開を先に設計していても、計画通りにいかない場面は出てきます。ただ、シリーズとしてのデザインの軸があれば、途中で方向性が変わっても柔軟に対応できる。今回の表紙制作を通じて改めて実感したことです。

中面ページ制作 ― インデックス・トビラのブラッシュアップ
表紙がシリーズで統一感を持たせているのに対し、中面は毎年の更新に合わせて改善を重ねてきました。
1年目は、表紙デザインの刷新に合わせて、目次や章の見出しページにも表紙のグラフィックを反映し、カタログ全体の統一感を整えました。年次更新として新製品の追加や旧製品の削除を行いながら、大型カタログ全体としてのトーンを確立することに注力しました。
2年目は、中面の使いやすさに大きく手を入れた年です。全カテゴリに扉ページを新設し、インデックスデザインを強化。カテゴリごとにまとめページも設けたことで、「カテゴリの区切りがわかりにくい」というユーザーの声に応えました。
そして3年目の今年度は、大きな構成変更はないものの、細部のチューニングを重ねました。カテゴリ見出しのデザイン調整、スペック表記のレイアウト統一、インデックスも色の展開や組み合わせを見直すなど、使い勝手の向上を図っています。
また、一部商品はBtoC向けリーフレットのデザインをカタログ内にリデザインして展開。販促物全体でのデザインの統一感を持たせつつ、個別商品のブランディングも損なわない形で落とし込みました。
デザインの骨格をつくる年があり、構成を強化する年があり、今年は細部を整え仕上げる——クライアント様とやりとりを重ね、毎年着実に使いやすさを向上させてきた継続制作ならではの積み重ねです。


自社スタジオでの製品撮影 ― リモート立ち会い手法の確立
カタログに掲載する新製品の撮影は、JPCが保有するワンストップスタジオ京都で行います。対象は毎年10〜20点の新製品。商品ごとにライティングやアングルを工夫し、質感やサイズ感が正確に伝わるよう撮影しています。黒色商品など色味の再現が重要な製品はレタッチ処理を行い、実物に近い色調で掲載できるよう調整しました。

クライアント担当者様の拠点が遠方に移転されたこともあり、2025年以降はスタジオへの立ち会いが難しくなりました。そこで導入したのが、撮影カットをリアルタイムでオンライン共有する仕組みです。撮影のたびにカットを送り、その場でフィードバックをいただきながら進めることで、立ち会いなしでも効率的に撮影を完了できます。
このリモート立ち会いがスムーズに機能するのは、長年の制作で製品の特性や「魅せ方」のノウハウが蓄積されているからこそ。製品ごとの撮り方や見せ方の勘所が両社で共有されているため、細かい指示がなくても意図に沿った撮影ができる。継続的な関係性があってこそ成り立つ進め方です。
総合カタログの完成
完成した2026年度版の総合カタログがこちらです。

表紙は緑と白を組み合わせたデザインでシリーズの統一感を保ちつつ、中面は毎年の改善を経て200ページを超えるボリュームでありながら、欲しい情報にスムーズにたどり着けるカタログに仕上がりました。
また、トビラページをイラストレーター担当班、中面をInDesign担当班と分担する制作体制で、作業効率と高品質な仕上がりを両立しています。
総合カタログの年次更新を”進化”に変える3つのポイント
ボリュームの多い総合カタログの年次更新は、手間も時間もかかります。単なる製品の入れ替えとして処理するのはもったいない。かといって、毎年制作会社にゼロから依頼し直すのも労力がかかりすぎる。しかし、同じパートナーと継続的に取り組むことで、見えてくるものがあります。本章では、継続制作でカタログの価値を高めていくためのポイントをご紹介します。
1. 継続性のある表紙フォーマットをつくる
表紙を毎年ゼロから提案し直すと、そのたびに方向性のすり合わせからスタートすることになります。複数年で使えるデザインの軸を先に設計しておくと、毎年の提案がカラーや配置の調整で済み、制作側もクライアント側も判断がスムーズになります。
加えて、シリーズとしての統一感はユーザーにとってもメリットがあります。「あの企業の総合カタログだ」という印象が引き継がれるため、年度の切り替え時に迷わせない、ブランディングの一助となります。表紙のフォーマットは、固定するものではなく、毎年の判断を楽にするための土台です。そう捉えると、途中で方向転換が必要になっても柔軟に対応できます。
2. ユーザーの声を次年度に反映する仕組みづくり
「今年こそカタログをもっと良くしたい」——これはクライアント様にとっても制作側にとっても共通の思いです。そして、カタログの改善点を最もよく知っているのは、日々カタログを手に取っている営業担当者や販売店などのユーザー。「このカテゴリの区切りがわかりにくい」「スペック表記がページによって異なり比較しづらい」といった声は、制作側だけでは気づきにくい現場ならではの課題です。
大切なのは、こうしたフィードバックを年次更新のタイミングで確実に拾い上げる流れをつくること。更新前のヒアリングに「ユーザーの生の声」を議題として組み込むことで、PDCAサイクルが自然と回り始めます。毎年の更新に、小さくても“現場に効く”改善を乗せる。その積み重ねが、長い目で見たときのカタログの品質を大きく左右します。
3. 長期的な制作パートナーを見つける
総合カタログの制作会社を選ぶ際、見積もり金額やデザインのテイストが判断基準になりがちです。しかし、年次更新が前提の総合カタログだからこそ、「来年も、その先も一緒に取り組めるか」で考えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、製品の撮影からデザイン、印刷まで社内で一貫して対応できる体制があるか。担当者が変わっても制作ノウハウが引き継がれる仕組みがあるか。自社の業界や製品特性を理解した上で、毎年の改善提案をしてくれるか——こうした差は、1回目の発注時には見えにくいけれど、毎年依頼を続けるほど顕著に表れてきます。
今の制作会社との関係に不安がある方も、これから新たにパートナーを探す方も、「長い目でカタログを一緒に育ててくれるかどうか」を判断基準に加えてみてください。
総合カタログデザイン制作まとめ
今回は、大阪の建材メーカー様の製品総合カタログ 2026年度版の制作事例をご紹介しました。
10年近くにわたってお任せいただいてきたこのカタログは、毎年の更新のたびにクライアント様と対話を重ね、少しずつ形を整えてきた一冊です。表紙のシリーズデザイン、中面の段階的な改善、そしてリモート撮影体制の確立は、すべて継続制作だからこそ実現できた取り組み。こうした案件に長く携わらせていただけることは、デザイナーとしてとてもありがたく、やりがいのある仕事です。
JPCでは、総合カタログの企画・構成・デザインから、撮影、印刷、納品までをワンストップで対応しています。「大規模カタログの制作を任せられる制作会社を探している」「毎年の更新を効率化しながら品質を上げていきたい」といったご要望がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
総合カタログ制作について詳しくは、こちらのページもご覧ください。
